(二)この世界ごと愛したい




返してあげようと手に取った将印。


その時、目に入った将印の花。




「…向日葵。」



うん、おーちゃんっぽい。


昨日の笑顔は、正に太陽のようなこの向日葵の花みたいだった。




…やっぱり可愛い。



私がそんなことを考えていると、下からカイがまた私を呼ぶ声が聞こえる。


私は朝の身支度だけ済ませて下に降りる。




「お嬢、おはようさん。」


「おはよー。」


「オウスケが悶え苦しんでんねんけど何したん?」


「あー…。」



酒場の隅っこで丸くなってるおーちゃん。


やること成すこと可愛すぎないか。




「オウスケあんま虐めたらあかんで。」


「い、虐めたつもりは…ないんだけど。ごめんなさい。」


「…なんかここ可愛いが渋滞しとるな。」



カイが頭を抱えつつ。


カウンターで朝食を準備しているようで。コーヒーの良い香りが鼻をつく。




「お嬢晩ご飯食べへんかったん?」


「…寝てた。」


「やっぱ俺は日常生活についてまず教えるべきやろか。」



大丈夫です。


私はその辺気合いと根性で乗り越えようと考えています。




「…あ、おーちゃん。これ落としてたけど。」


「オウスケ意外と手早いな。もう将印渡したんか。」



落としていった将印を見せると、カイがすぐにまた揶揄って。


おーちゃんがすぐに飛んできた。




「渡してへん!」


「…おーちゃんごめんね。」



パッと私から将印を奪い取ったおーちゃんに、私はきちんと謝罪。


人違いでご迷惑お掛けしてすみません。




「…るーって何?」


「るうは私の……従者、です。」



そう言えば、そうだ。


これからは専属になったから、ハッキリちゃんと私の従者だと言えるんだった。