返してあげようと手に取った将印。
その時、目に入った将印の花。
「…向日葵。」
うん、おーちゃんっぽい。
昨日の笑顔は、正に太陽のようなこの向日葵の花みたいだった。
…やっぱり可愛い。
私がそんなことを考えていると、下からカイがまた私を呼ぶ声が聞こえる。
私は朝の身支度だけ済ませて下に降りる。
「お嬢、おはようさん。」
「おはよー。」
「オウスケが悶え苦しんでんねんけど何したん?」
「あー…。」
酒場の隅っこで丸くなってるおーちゃん。
やること成すこと可愛すぎないか。
「オウスケあんま虐めたらあかんで。」
「い、虐めたつもりは…ないんだけど。ごめんなさい。」
「…なんかここ可愛いが渋滞しとるな。」
カイが頭を抱えつつ。
カウンターで朝食を準備しているようで。コーヒーの良い香りが鼻をつく。
「お嬢晩ご飯食べへんかったん?」
「…寝てた。」
「やっぱ俺は日常生活についてまず教えるべきやろか。」
大丈夫です。
私はその辺気合いと根性で乗り越えようと考えています。
「…あ、おーちゃん。これ落としてたけど。」
「オウスケ意外と手早いな。もう将印渡したんか。」
落としていった将印を見せると、カイがすぐにまた揶揄って。
おーちゃんがすぐに飛んできた。
「渡してへん!」
「…おーちゃんごめんね。」
パッと私から将印を奪い取ったおーちゃんに、私はきちんと謝罪。
人違いでご迷惑お掛けしてすみません。
「…るーって何?」
「るうは私の……従者、です。」
そう言えば、そうだ。
これからは専属になったから、ハッキリちゃんと私の従者だと言えるんだった。

