カイに頼まれかなり渋々。
めちゃくちゃ嫌そうにしながら眠る私を抱き抱えたおーちゃん。
「…は…?」
そんな素っ頓狂な声が出たのは、私の体重に驚いたからだそうで。
「……。(軽すぎひん?あれ?女ってこんな軽いんやったっけ?)」
酒場に入って、上の階に登り部屋のベッドの側まで辿り着いたおーちゃん。
そのまま私をそっと降ろしてくれる。
「…る…?」
「え?」
「るう…?」
「るー?」
最近ではあまりなかった。
眠る私の側に立っている気配に、私は寝惚けたまま手を伸ばす。
「なっ!?!?」
癖とは恐ろしいもので。
その首に腕を回した私は、固まったままのその人を疑問に思い薄く目を開ける。
「…え?」
「は…離せアホっ!!!」
目の前に真っ赤な顔のおーちゃん。
「…ご、ごめっ…」
「お、おおお俺は…心に決めた女がおんねんーっ!!!」
謝り終えるより先に。
なんか叫ばれて私をグイッと無理矢理押し退けて、そのまま逃げるように部屋を飛び出して行ったおーちゃん。
「お、おーちゃ…。」
もう姿はないが弁明したい私。
しかし何せ寝起き無能なもので、頭が上手く回らない。
「…〜っ。」
おーちゃんの赤面が伝染する。
るうと間違えた恥ずかしさと、超至近距離で交わった視線が相まって。
「…あれ。」
私がおーちゃんの首に腕を回したから。
おーちゃんが無理矢理抜け出して行ったから、頭に付けていた将印が転がっているのに気付いた。

