(二)この世界ごと愛したい





翌朝。


仲良く二人で出勤してきたカイとおーちゃんは、酒場に入る前に目を疑う。




「……オウスケ。」


「し、知らん。俺は知らん。俺軍の奴等ちゃんと帰した後帰ったし。」


「何で中まで見届けへんねん。」


「お嬢が訳の分からんことばっかり言うから俺もしんどかってんて!」



野原に転がって一人で寝ている私を、信じられないと目を疑う二人。




「この子、姫やんな?」


「元から姫なんて柄やないやろ。」


「…俺が教えるんは仕事でええんかな。まずはちゃんと生活出来るように教えるべきやろか。」


「ほっとけ。」



とりあえずこの状況をどうしようかと考えるカイ。


もう捨て置けと呆れるおーちゃん。




「オウスケ、とりあえず部屋まで運んだり。」


「やから何で俺やねん!?」


「お嬢に格好良い言われて好きなったって今朝から喧しかったやん。」


「はっ!?すっすす…好きとは言うてへんやろっ!?」



格好良いと言われたことは話したらしいおーちゃん。




「…お前は乙女か。」


「誰が乙女やねん!!!」



真っ赤な顔で照れまくるおーちゃんを揶揄うカイ。


でもそんな姿を微笑ましく見るカイは、ここまで来ればおーちゃんの保護者も同然だろう。




「でも分かるで、オウスケ。お嬢にカッコええ言われたら惚れてまうわな。」


「俺は惚れてへんけどな!?」


「やから運んであげ。このまま置いとかれへんし。」


「っ〜!!!」