素晴らしいことだと思います。
そんな世界になるといいなと素直に思います。
「人を殺すことが正義やと思っとるお前等とは違うねん。」
「…そうだね。」
「お前は一体なんやねん。」
大人しく相槌打ってるだけなのに逆ギレされた。
「だって何も言えることないよ?」
「なんかあるやろ。」
「なんかって…。そもそも私とおーちゃんの正義は違うんだから何言っても無駄じゃない?」
「カイが何でお前を側に置こうとするんか俺には理解出来ん。」
それは私にも分かりませんよ。
「さっきの戦の話で言うとさ。何人殺したかは確かに数えてないけど、戦で一つだけ数えてることはあるよ。」
「討った敵将の数か?」
「…守れなかった人の数だよ。」
それを嘆いて、また剣を取る。
ひたすらそれを繰り返してここまで来ただけ。そうしてたら戦神だと言われただけ。
「都合の良い私の正義は、いつも誰かを守れない。」
「……。」
「だから私はまた戦場に行って。そうならないようにって戦うんだけど、結局同じことを繰り返して…って。今はもう戦はしないけどね?」
おーちゃんは意外そうに驚くけど。
戦神だなんて呼ばれても、本当に私の力なんてそんなものだ。
「人を守るために剣を抜く私と、人を死なせないために剣を抜かないおーちゃんとじゃ、そもそも戦ってる戦場が違うの。」
「…お前やっぱアホやん。」
「あーもうそれでいいよー。」
どっちが正しい正義かなんて、答えはない。
答えのないものに私は興味もない。無駄な議論は時間の無駄だ。

