(二)この世界ごと愛したい




おーちゃんは一先ずこの場を解散させるために、軍人さん達に声を掛けて城に帰す。


その際にもペコリと頭を下げて行く、そんな良く出来た軍人さん達。




「おーちゃんも帰れば?」


「言われんでも帰るわ。さっきも言うたけど、ここに来たのは別にお嬢のためとちゃうからな。」


「うん、おやすみ。」


「……。」



手を振っておやすみと伝えると睨まれる。


可愛い顔で睨まれる。




「え、睨まれるポイントが全然わかんない。」


「…お前、俺が来んかったらどうなってたか分かるか?」


「んー?とりあえず朝まで鬼ごっこ?」


「アイツ等悪い奴とちゃうけど、陛下のためなら喜んで何でもする奴等やで。」



だろうね。


わざわざ嘘ついてまで、私の力量も多少分かった上で、ここまで武器を持って来てしまう。立ち向かおうとしてまう。




「…おーちゃんは何が言いたいの?」


「…別に。」


「私が剣を抜かなかったのがそんなに変?ダメだった?」


「だってお前は戦神やろ。」




うーん。


そんな一昔前の異名を持ち出されても。




「つまり、おーちゃんの中の私は戦大好き人間ってことかなー?」


「じゃあ今までに何人殺したん?」


「……数えたことないよ。」


「やから嫌いやねん。」



そう言われると、これ以上話せることはなくなってしまう。




「そんな俺が将軍やんなって思うやろ。」


「特に何とも?」


「…俺は人が人を殺さんで済むように、将軍になった。」


「ふーん。」