「…ん…?」



夕方にも満たない時間から眠り、そのまま朝まで眠るなんてことはなく。


目覚めた頃には外も部屋も真っ暗。



私は決して自然に目覚めたわけではない。





「…流石王都。多いなー…。」



私へ敵意を向けて。


この酒場が大人数に囲まれて始めているのに気付いたから目覚めた。




「…あー…めんどくさい。」



そう思いつつも。


カイの酒場を荒らすわけにもいかないので、私は剣を持って外に出ることにした。





「っで、出て来たぞ!!!」


「…うわ、弓兵まで。ご丁寧に引き連れておはようございます。」



外には約数十人の軍人。


一体何を思って私を狙っているのか、その真意はまだ分からない。




「…妖か…?」


「挨拶もなしに悪口なんて酷いなー。」



ただ立ってるだけで妖だと言われました。


悲しいです。




「お前を捕える。」


「…どうしよっかなー。」



私を殺すでも追い出すでもなく…捕える。


それはつまり私のことがこの国の軍事を司る王城の人間にバレているということか。



狙われているのは火龍の力か。




「…王様は良い人だって聞いたけど。」


「その陛下から命だ。」


「へー。」


「身柄を拘束させてもらう。悪く思うな。」



パルテノン王の指示で私を捕えるという彼ら。


私はどこか腑に落ちない気持ちがある。それはおーちゃんの存在。




「王様のことは一旦置いといて。このこと第一将は知ってるの?」


「オウスケさんは関係ない。」


「なんで?」


「我々だけで対処するようにと言われている。」



おーちゃんは関与してないのか。




「…お兄さん達は第一将を軽んじる人なの?」


「あの人を軽んじる人間などこの国にはいない。」


「…私はさ、この国のことはまだ良く分からないけど。それでも国の個性って第一将に如実に現れるなって今日思った。」



おーちゃんを見て。


おーちゃんと剣を交えて。



私はパルテノンという国が、意図して争い事を避けているような。血を流さずに国を守ろうとしているような。


…そんな強い意思を感じた。






「だから私も、この国ではもう剣は抜かない。」



つい癖で持ってきてしまったけども。