それはもう愉快でしかない。


この世界を掌握し、火龍を中心に置いて世界の理を狂わせることが出来るなら。




「…私の可能性は無限大かもしれない。」


「おい、カイどうすんねん。カイのせいでお嬢壊れたで。」


「何で俺やねん。」



壊れてません。


それよりも、私は今後のことを考えるだけでもう心が躍る。




「ミケさん。」


「…ニャ?」


「とんでもない場所に私を運んでくれたねー。」



私は知らなかった。


軍人として、パルテノンが強国だと感じたことはなかったのに。滅びることなくこの時代まで強く在り続ける理由を。



その理由が、カイのような人の力だとしたら。




…これは私の道に強固な足場を造る。





「お嬢?」


「んー?」


「ニコニコして何がそんなに嬉しいん?」


「えー?」



カイさん。


私はこういうの大好物なんですよ。





「カイはどこまで見える?」


「どこまでって?」


「私を利用して得ようとしてるその先が、どこまで見える?」


「利用って…そんな悪い言い方せんでもええやん。俺はほんまに良きビジネスパートナーやと思っとるだけやで。」



…のらりくらりと。


どこまでも注意深く、最奥を読ませない男だ。




「あーどうしよう。すっごく楽しみだけどハルには伝えとかないと絶対暴れちゃうなー。」


「…え、待って?お嬢何考えてるん?」


「超楽しいこと。」


「こっわ。この子ほんま恐ろしいわ。」



恐ろしいとは失礼しちゃう。



だけど情報を生業にするだけあって、カイはその情報が持つ力を誰よりも知っているはず。


世界に変革を齎す力だと、知っているはず。




「ねえ、カイ。」


「怖いて。その笑顔めっちゃ可愛いのに怖いて。」





「私を風雲児にしてくれる?」




これからの世界を想像して。


思わず心が踊り出して。



アキトに倣ったニヒルな笑みで言い放った私に、カイは困ったように笑うしかなく。







「…利用しようとしてるんはどっちや。」



苦言にも聞こえるそんな言葉を吐いた。