…なんか馬鹿にされてるな!?




「私は非論理的な科学的根拠がないものはそもそも嫌いなんですー。」


「お嬢は子供やな。」


「おーちゃんだって子供じゃん!」


「やから子供ちゃうわ!俺は恋愛経験あんねん!」



ドヤ顔で威張るおーちゃん。


何ですか。恋愛経験がないと大人になれないんですか。恋愛経験が人を大人にするんですか。




「…恋愛なんてする時間あるなら私は本に埋もれて過ごしたい。」


「この女脳筋かと思えば頭も硬いぞ。女として終わっとる。」


「なっ、何でそこまで言われなきゃなんないの!?」


「これで女としての教養もなかったらもう絶望。救いようもないわ。」



じゃあ救いようないですね!!!


女としての教養なんて皆無ですもの!!!




「あ、そうや。お嬢ここ今日は店閉めるから好きに使ってくれてええよ。風呂もあるし着替えも棚に入っとるから。」


「…着替えってカイの?」


「女物もあるで。」


「…何で?」



いや、だって。


カイとおーちゃんしか従業員いないのでは?何故に女物の着替えなんてあるの?




「仕事でいる時あるから割と色んな服用意してるだけやで?俺に女がおるかもって思ったん?」


「それは全然考えなかった。仕事で必要になるって、カイはお洋服屋さんなの?」


「は?」



洋服たくさんあるならそうじゃないの?


あれ?でも世界を知る仕事って言ってたな?猫探しは個人的な依頼だろうし?でもここ酒場だっけ?


ん?そういえば私がさっき渡された報酬は戦のことを教えたからって言ってた?




「あれ?何屋さんなの?」


「仕事分からんと受けるつもりやったん?」


「…世間知らずですみません。」


「…俺もちゃんと説明せえへんかったからか。」



それもそうだ。


特に何をするかはっきり説明されてない。




「表向きは見ての通り酒場。」


「表向き?」


「裏では“何でも屋”。」


「な、何でも?」



初めて聞く職業に、思わず胸が高鳴る。







「“何でも屋”のそのまた裏で、情報屋。」


「…情報。」



だから私に情報提供料が発生したのか。



私はカイの話を聞いて、思わず俯いて考えを巡らせる。


もしかしたらこれは、私にとって大きな出会いだったんじゃないだろうか。



この仕事はミケさんが運んでくれた、私の運命を大きく変えるものなんじゃないだろうか。