「青春やなー。」
「か、カイ!?どこが青春や!?」
「分かる分かる。お嬢の笑顔が可愛かった上に嬉しいこと言われて照れたんやろ。」
「てっ…照れてへんわ!!!」
そう言い返すがまだ真っ赤な顔で、もう説得力は皆無。
「私、恋愛願望ないんだよね。」
「…は?」
「だからおーちゃんごめんね。」
「俺お嬢タイプとちゃうで!?惚れてもないで!?なんで俺がフラれたみたいになってんねん!?」
もうここ最近モテ期すぎて。
先に手当たり次第布石を打たねばと私は色々学習しているんです。
「これが私の経験値。」
「い…意味が分からん。」
「カイご飯おいしかったよー。ありがとう。」
「また無視か。」
ニコニコと微笑ましくおーちゃんを見ているカイにご馳走様と伝えて。
私はこれからどうしようか考える。
「ニャー。」
「ミケさん、私とお散歩する?」
餌を食べ終えたミケさんが、同じく食事を終えた私の膝に飛び乗った。
「ニャ…。」
「眠いのかー。私せっかくだから王都観光したかったけど、ミケさんは休んでる?」
「…ニャー。」
「えー?私もここにいるの?」
「ニャー。」
「…どうしよっかなー。」
どうやらミケさん。
昨日同様、私とダラダラ過ごすのが希望らしい。
「お…お嬢ミケの言葉が分かるん!?」
私とミケさんを見て目をまん丸にしてるおーちゃん。
「何となくだけどね。」
「すげえ!ついでにもう脱走せんように言うてくれ!」
「それはさっき伝えたけど不服そうだった。」
「何が不服やねん!?」
私も全部が全部分かるわけじゃない。
猫はそもそも気分屋だし、脱走するのにちゃんとした理由なんかないのかもしれない。
「…実は不満なんかないんだよね。」
「は?」
「ただ、我が儘を言いたいだけ。構ってほしいだけ。一人になりたいのに独りにしてほしくないだけ。」
「…ミケが言うたん?」
言ってはない…けど。
「…私と同じな気がしただけ。」
脱走経験豊富な私なので。
ミケさんもそうじゃないかなって。

