私は地面を蹴ってふわりと舞い上がる。
もちろん炎は使ってません。持ち前の身軽さです。
「…せめて、一矢報いるか。」
マサムネさんが何か呟き、懐に手を忍ばせる。
「っ!!!」
私は最後に上からの攻撃を仕掛けようと思ったんだけども。
距離を取ってしまったのが誤断。
懐から手裏剣と思われる鉄が下から私に襲いくる。それは早いし、そしてこの暗さではっきり捉えられない。
「痛いー…。」
「拙者の方が重症だ。」
全てを躱すのは諦め、手裏剣が刺さりながらも私は攻撃に転じることを優先した。
結果、私の剣がマサムネさんに入った。
「大丈夫ー?」
「…敢えて浅くしたんだろう。それに手裏剣も火遁で防げたはずを。」
「最初に炎は使わないって言ったし。」
「浪人のリンが助力すると、さっき聞いたが。」
私の勝利…とは言い難いけど。
とりあえず傷を負ったマサムネさんはもう戦意はないようで。私も剣を収める。
「うん。こんな馬鹿げた力を持った以上、均衡は守るよ。」
「…立派な志だ。」
「だからもし困ったことがあって、次に私を見かけたら言ってね。今日付き合ってもらった借りもあるし。多少融通するよ。」
「アレンデールへの攻撃でもか?」
マサムネさんの目が、鋭く光る。

