(二)この世界ごと愛したい




カイは納得いかなさそうにしているが、私はもう疲れました。




「じゃ、私どっか泊まるとこ探してくるー。」


「ここ使ってええって言うたやん。」


「おーちゃんは了承してなさそうだよー。私がカイに噛み付かないか心配してるみたいだし。私のことは気にしなくていいからおーちゃん優先してあげてー。」


「…オウスケ。」



カイに一睨みされたおーちゃんは罰が悪そうに俯く。


それも拗ねた子供みたいでまた可愛い。




「私を警戒するのも面倒でしょ?」


「…お嬢には敵わんな。」


「お仕事は借りがあるから一ヶ月は頑張るね。」



コーヒーも飲み終えたので立ち去ろうとした私。


それを引き止めるのは。



…三毛猫のミケさん。




「ミケさん?」


「ニャー。」


「…また来るよ?」


「ニャ。」



ダメだって言ってる…気がする。


私の足にまとわりついて離れそうにないミケさん。




「…ミケを見習うか。」


「カイ、もうええやん。」


「お嬢やっぱここにおり。俺が他で寝るわ。」


「カーイー。」



私をここに留めるカイと落ち込むおーちゃん。




「ミケがこんなに人に懐くの珍しいし、お嬢はええ子やって何よりの証拠やんか。」


「本当にお構いなく。何でか知らないけどおーちゃん可哀想だよ。」


「とりあえず上の部屋、突き当たり使ってええから。荷物置いてゆっくりしとき。後で昼飯も作ったるわ。」


「…ご飯…そうだ。食べなきゃ。」



るうにまた怒られる。


でも、ここに泊まるのはまだ決め兼ねる。




「泊まるかは置いといてご飯は食べたいです!」


「ほな上で待っとき。また声掛けるわ。」


「ありがとうございます!!」



お説教回避!!!


私は言われた通り階段を上がって、突き当たりの部屋にお邪魔することにしました。