カイは納得いかなさそうにしているが、私はもう疲れました。
「じゃ、私どっか泊まるとこ探してくるー。」
「ここ使ってええって言うたやん。」
「おーちゃんは了承してなさそうだよー。私がカイに噛み付かないか心配してるみたいだし。私のことは気にしなくていいからおーちゃん優先してあげてー。」
「…オウスケ。」
カイに一睨みされたおーちゃんは罰が悪そうに俯く。
それも拗ねた子供みたいでまた可愛い。
「私を警戒するのも面倒でしょ?」
「…お嬢には敵わんな。」
「お仕事は借りがあるから一ヶ月は頑張るね。」
コーヒーも飲み終えたので立ち去ろうとした私。
それを引き止めるのは。
…三毛猫のミケさん。
「ミケさん?」
「ニャー。」
「…また来るよ?」
「ニャ。」
ダメだって言ってる…気がする。
私の足にまとわりついて離れそうにないミケさん。
「…ミケを見習うか。」
「カイ、もうええやん。」
「お嬢やっぱここにおり。俺が他で寝るわ。」
「カーイー。」
私をここに留めるカイと落ち込むおーちゃん。
「ミケがこんなに人に懐くの珍しいし、お嬢はええ子やって何よりの証拠やんか。」
「本当にお構いなく。何でか知らないけどおーちゃん可哀想だよ。」
「とりあえず上の部屋、突き当たり使ってええから。荷物置いてゆっくりしとき。後で昼飯も作ったるわ。」
「…ご飯…そうだ。食べなきゃ。」
るうにまた怒られる。
でも、ここに泊まるのはまだ決め兼ねる。
「泊まるかは置いといてご飯は食べたいです!」
「ほな上で待っとき。また声掛けるわ。」
「ありがとうございます!!」
お説教回避!!!
私は言われた通り階段を上がって、突き当たりの部屋にお邪魔することにしました。

