(二)この世界ごと愛したい




「お嬢は罪な女やな。」


「…そうですね。」


「さっき言うてたエゼルタの白狼もお嬢に夢中やしな。」


「白狼…。うわ、シオン嫌がりそうー。」



けどシオンの白狼って異名は、ちょっと合ってるね。てか見たまんま。


本人が嫌がってたのが理解出来ました。




「各国の名だたる将軍を虜にして回ってるん?」


「…その言い方…って、否定するには好かれすぎてるか。でもシオンは別に…どうなんだろう。あーもう考えるのやだ。」


「不本意なんはよく分かった。」


「分かってくれてありがとう。カイは大人だね。」



大人の対応、助かります。


オウスケさんを見てみろ。この世のものを見る目ではない目で私を見てる。




「俺もあと十歳若かったらお嬢にアタックしたわ。」


「…うん、もういらない。」


「オウスケの将印も行く行くはお嬢に渡ったりするんかな。」


「いや、だからいらない。」



オウスケさんも嫌そうな顔を隠すこともせず。


さん付けで呼ぶのも嫌になってきた。




「こんなのに渡すくらいやったらミケに渡す方がええわ。」



ミケとは、私が運んだ猫さんのことですね。


三毛猫のミケね。




「おーちゃん猫さんとお似合いだよ。お幸せに。」


「誰がおーちゃんや!?お似合いって何や!?」


「おーちゃんもカイを見習って早く大人になった方がいいよ?外見も中身もね?」


「言うたな?お前俺が気にしとることを何回も言うたな?」



気にするくらいなら直せばいいのに。


外見はどうしようもないか。



完全に頭に血が昇ってしまったおーちゃんは、再び剣を抜いて私に向ける。



…この双剣の腕前は確かに気になるな。