「お嬢は罪な女やな。」
「…そうですね。」
「さっき言うてたエゼルタの白狼もお嬢に夢中やしな。」
「白狼…。うわ、シオン嫌がりそうー。」
けどシオンの白狼って異名は、ちょっと合ってるね。てか見たまんま。
本人が嫌がってたのが理解出来ました。
「各国の名だたる将軍を虜にして回ってるん?」
「…その言い方…って、否定するには好かれすぎてるか。でもシオンは別に…どうなんだろう。あーもう考えるのやだ。」
「不本意なんはよく分かった。」
「分かってくれてありがとう。カイは大人だね。」
大人の対応、助かります。
オウスケさんを見てみろ。この世のものを見る目ではない目で私を見てる。
「俺もあと十歳若かったらお嬢にアタックしたわ。」
「…うん、もういらない。」
「オウスケの将印も行く行くはお嬢に渡ったりするんかな。」
「いや、だからいらない。」
オウスケさんも嫌そうな顔を隠すこともせず。
さん付けで呼ぶのも嫌になってきた。
「こんなのに渡すくらいやったらミケに渡す方がええわ。」
ミケとは、私が運んだ猫さんのことですね。
三毛猫のミケね。
「おーちゃん猫さんとお似合いだよ。お幸せに。」
「誰がおーちゃんや!?お似合いって何や!?」
「おーちゃんもカイを見習って早く大人になった方がいいよ?外見も中身もね?」
「言うたな?お前俺が気にしとることを何回も言うたな?」
気にするくらいなら直せばいいのに。
外見はどうしようもないか。
完全に頭に血が昇ってしまったおーちゃんは、再び剣を抜いて私に向ける。
…この双剣の腕前は確かに気になるな。

