「拙者と、手合わせを？」
「…信用も何もあったもんじゃないだろうから、無理強いは出来ないから、その…可能であれば。」
「……。」
「あ、うん。大丈夫。悩ませてごめん。」
険しい顔の忍者を前に、私は諦める。
そりゃ私が口先で炎を使わないと言ったところで、それを信じるなんて無理な話だろう。
双剣の練習も、今度アキトにでも頼もう。
「面白い。」
「…え？」
「拙者も貴殿の力量に興味がある。」
いよっし！！！
「よろしくお願いします！！！」
「では早速。」
そう言って忍者が剣を抜く。
鍔が少し大きい剣だ。もう色んなところが気になって仕方ない。
「…参る。」
「っ！？」
速っ！！！
流石は忍者と言わんばかりのスピード。そして気配が読み取りにくい。
付いていけないスピードではないけども、やっぱりその辺の兵とは訳が違う。
「すごい！忍者すごいっ！」
「女子にしては確かに強者。これでは神だと讃えられるのも無理はない。」
「これだけの力、優しい鍛錬じゃなかったよね。」
「っ！」
どちらかと言うと、私が優勢。
でも剣一本だったら、このスピード感ある太刀筋に対応出来なかったと思う。
何となく双剣の扱いは身体が覚えてきた。
「…名は何だ。」
「リンだよ。忍者さんは？」
「マサムネだ。」
「うわ、名前までカッコいいね。」
かなりの近距離戦なので。
多少無駄話をしつつ、でも実際はかなりの打数打ち合っています。
「リン、か。」
「もしかして長距離戦の方が得意？」
「…何故分かる。」
「微妙に私から距離置こうとしてない？無意識かな？」
忍者とは長距離戦が得意らしい。
新発見、嬉しいです。
「…火遁を使わずともこの技量。とても敵いそうにないな。」
「それで言うと私の土俵で戦ってもらってるみたいだからお互い様じゃない？」
「ふっ、リンは愉快な女子だ。」
どれくらい私は忍者と打ち合っていたのか。
辺りはすっかり暗くなってきている。まだ何とか視界は問題ないけど、トキ達待たせてるし潮時かな。
…何より流石に疲れました！！！
