天帝???
誰???
「…天帝の、女…って何?」
「セザールの第一将。」
「あーアキトのことか…って天帝って何?もしかして異名?アキト天帝なの?似合わないね?」
「将印渡された仲なんやろ?知らんかったん?」
将印の流言とは本当に厄介だ。
「アキトの女…ね。うーん。もう面倒だからそう言うことにしようかなー。」
「…ちゃうん?」
「持ってるのは持ってる。」
「やっぱ天帝の女なんやん。」
なんか気になるのよ!!!
そう言われると反応に困るのよ!!!
「帝に選ばれたのが月姫…かぐや姫って専ら噂やで。」
「アキト何でそんな意味不明なこと言うのー…。」
もう項垂れるしかない私。
未だ剣を抜いたままのオウスケさんには勿論気付いていますが、全くもって殺意がないのでほっといてます。
「なあ、天帝の将印見たい。」
「…カイさんってミーハー?」
「カイでええって。直接見た方が信憑性あるやん。」
私は首に付けていた将印を外して、カイへ差し出す。
「は?」
「あ。」
差し出してから気付いた。
…ハルのと一緒にしてたんだった。
「ビッグニュースやん。」
「…忘れてた。」
「将印二つも持っとる子なんて聞いたことないわ。前代未聞やな。」
それも兄妹間でと。
怪奇な目をカイとオウスケさんから向けられる。けどこれが正しい反応。世間の真っ当な反応だ。
オウスケさんも思わず剣を収めて、その二つの将印を眺めている。
「将印集めとか趣味悪。」
「オウスケさんのはいらないよー。」
「やらんわ。」
「…腹立つなー。」
げんなりと顔を歪めてんのも腹立つ。
私だって好き好んで集めたわけではない。ハルのもアキトのも、それぞれの想いが詰まったそれなりに重みのあるもの。
…無下に何て出来るものではない。
「桜と椿か。」
「カイはお花詳しいの?」
「一般的なのは知っとるだけやで。それにしても、鬼人の方は…ちょっと難儀な話やな。お嬢はこの意味理解してるん?」
「…知らなかったから後から教えてもらった。」
知ったところで私とハルは変わらないし。嬉しい以外の感情湧かないし。

