「オウスケこれでも二十歳超えてるで。」
「…私、若年寄り初めて見た。」
「誰が若年寄りや!二十代はまず年寄りちゃうわ!あんたアホか!?」
私の発言にケタケタ笑うカイさん。
そしてプンプンと怒るオウスケさん。その顔もまた子供っぽくて…うん。
「移動せんでええ。話があるならここで聞く。」
「…オウスケさん軍事に関わる方だと思うんだけど間違いない?」
「あー将印見て逃げようとしたんか。せやな。一応第一将やけど。」
「…連合軍の折はすみません。」
私は頭を下げて謝罪する。
あの時シオンが率いた連合軍。三国の連合軍の中にはエゼルタとディオン、そしてパルテノンの軍がいた。
ほぼ無傷で帰国したエゼルタと違って、ディオン軍とパルテノン軍はほぼ全滅。
その謝罪をせねばと思った。
「謝るくらいなら最初から戦場に何か来んな。」
「…ご尤も。」
「オウスケ、お前もっと優しく言わんかい。こんな可愛い子にそんな冷たいことよう言えるな。しかも攻め入ったんは寧ろこっちやで。」
「あ、お構いなく。優しくされる覚えはないし。ただ、私としては借りを残したままなのが嫌だからオウスケさんが困った時、一度だけこの国に尽力することにするよ。」
私の申し出に顔を顰めるオウスケさん。
「いらん。」
「…必要な時にお声掛けいただければ。不要なら不要でそのまま捨て置いてくれていいよ。」
「あんたに何が出来んねん。」
「…軍事に関わることであれば恐らく全て叶えられる。叶えるかは内容によるけど。」
相変わらずオウスケさんは私に剣を向けたまま。
私にこの場を離れる隙を与えてはくれない。
「なあ、オウスケ。」
「んー。」
「俺お嬢にどうしてもここで働いてほしいねん。」
「へー。」
「そのお嬢のお前に手を貸す権利、いらんならここで使ってくれへん?」
「…別にええけど。」

