「ご挨拶が遅れてすみません。リンと申します。」
「それは知っとるけど。何で俺にそんな畏まるん?」
「…何で…でしょう。」
「…それで、働く気になってくれた?」
あ、そうだった。
どうしようか本当に悩むんだよね。
「…お試し期間でやってみるか?」
「お試し?」
「何個か簡単な仕事してもろて、出来そうやったら継続。それで無理やと思ったら辞めてもらってええよ。」
私が気にしてるのはそんなことではないんだけども。
だけど、私に世界を教えてくれると言ったさっきの言葉が頭から離れないのは事実。
…私はこの世界をもっと知りたい。
「…一つだけ我が儘を言ってもよろしいですか?」
「可愛い子の我が儘は聞かなあかんな。」
「利害関係だけを考えましょう。これ以上の余計な詮索は止めたいです。お互いに。」
「…分かった。お嬢さんの言う通りにしよ。」
承諾してくれたので、私もお試し期間とやらを引き受けることにした。
しかし名乗ったのにお嬢さん呼びが治らない。
「リンでいいです。」
「…間を取ってお嬢にしよか。」
「それ間ですか?」
「その名前、可愛くてええ名前やけど。あんまり口に出さん方がええよ。危ない奴も最近は多いしな。」
なるほど。
そういう意図があったのか。
「お嬢…も何か…微妙ですけど。」
「細かいことはええやん。これで俺たちはビジネスパートナーやな。お嬢住むとこあるん?」
「まだ…ないです。」
「ほな上の空いてる部屋使ってくれてええよ。勿論使うも使わんもご自由に。」
なんか至れり尽くせりじゃん!!!
「階段にいる方は?」
「あ、忘れとった。オウスケー。」
ここでオウスケさん登場すんの!?!?

