正直、これを聞いて更に悩む。
アレンデールへの私情や私怨があれば即断った。そして火龍に対して何かしらの欲が垣間見えることがあればこれも迷わず断った。
私を雇いたいと言う理由がお金である以上、これは私にとっても都合が良い話。
「…あなたは何者なんですか?」
「俺かー。」
「…結構お偉い立場の方ですよね?」
「分かるん?」
「階段に身を潜めてる人かなり手強そうなので。そんな護衛を付けねばならない程かと思っただけです。」
「あーなるほどな。」
カイさんは少し悩んで。
ニコリと私に笑みを浮かべた。
「俺のことは秘密。」
「…そうですか。」
「カイって呼んでくれてええよ。歳は永遠の二十歳。好きな女の子のタイプは年上の大人女子。あ、お嬢さん堪忍な。悪気はないで?」
「…そうですか。」
秘密だと言ったのは恐らく自分の立場の話だろう。
それ以外のことは聞いてもないのに、どうでもいいことをペラペラと喋っている。
てか二十歳は無理があるよね!?おじさんじゃん!?しかも年上の大人女子っておじさんより年上ならかなり年配のおば様になるけど大丈夫!?
ツッコミどころ満載なのに、猫被ったせいで言いたいことも言えずに黙るしかない。
「…俺の年齢のこと考えとる?」
「…いえ。」
「二十歳はやっぱ無理ある?」
「そうですね。」
お嬢さんは手強いなーと呟きながら、私が飲み終えたコーヒーの後片付けをしているカイさん。
私のことはしっかりバレてるのにお嬢さんって呼び続けてる。

