喋り方に癖のあるおじ様。


そんな第一印象。



おじ様と言うにはまだ若い気がするけども、流石に若者ではなさそう。




「猫もあの子が見つけてくれてここまで連れて来てくれたんで。俺の報酬と折半でよろしくっす。」


「……。」


「カイさん?聞いてます?」


「…報酬な。これ持って行き。あの子の分は俺があの子に直接渡すし、もう帰ってええよ。ご苦労さん。」



お兄さんはカイさんにお礼を言って、私に手を振って爽やかに去って行った。




…え!?私ここに置いて行くの!?





「…お嬢さんちょっとええか?」


「…猫さんの飼い主さん…ですよね。野良猫だと勘違いして連れ回してしまってすみません。」


「気にせんでええよ。それより中で何かご馳走するわ。」


「いえ、結構です。報酬もお構いなく。猫さんちゃんと送り届けられてよかったです。失礼します。」



猫さんをその場に置いて私は立ち去ろうとした。


けど、そんな私を何故か引き止めるカイさんと猫さん。腕はカイさんに掴まれ、足に猫さんがまとわりつく。




「…えっと?」


「…とりあえずコーヒーでもご馳走するな。」


「あ、お邪魔します。」



コーヒーに目が眩んだ私は酒場にお邪魔することにしました。


一応王都なので警戒すべきにも関わらず、安易に釣られてしまった安い私。




「…お嬢さんは何でこの街に来たん?」


「旅の途中に偶然です。」


「…偶然か。俺のこと知っとる?」



どうしよう。


オウスケさんの時同様この人も有名人だったりするなら知ってるって言わないと私が怪しい感じになる?確かにこのカイさんって人只者じゃない感じがすごいんだよね?




「…し、知って…るような知らないような…。」


「…知らんか。」


「え、あ…すみません。」



すぐバレた。


けど変にボロが出るよりマシか。




「はい、コーヒー。」


「ありがとうございます。」



美味しそうなコーヒーをいただく。


そんな私をカイさんはただじっと見つめる。




「……何か?」


「……つい見惚れてしもて、堪忍な。」


「……いえ。」