この王都を見てまず思ったのは、すごく煌びやかな街並みで。
街を歩く人たちもかなりお金持ちっぽい。
つまり、パルテノンという国はかなり財政が潤っていると見える。
「ここだ。」
「…酒場…ですか?」
街並みを抜けて少し歩いた先に小さな酒場が一軒。
王城であるだろう城からも少し離れたそんな場所で、近くには綺麗な野原があり可愛いお花も咲いている。
「猫とちょっと待っててくれ。」
「はい。」
酒場に入って行ったお兄さんを見送り。
私は野原に猫さんを放して、また一緒にごろんと横になる。
お兄さんへの態度とは打って変わって、私にはとても懐いてくれている可愛い猫さん。擦り寄ってくれるのがとても嬉しくて癒される。
「無事に飼い主さんに会えるよ、良かったね。」
「ニャー。」
「脱走したい気持ちは…私も分かるけど、あんまり心配かけちゃダメだよ?」
「…ニャ。」
不服そうだが分かったと言ってくれた…気がした。
脱走経験は私もありますが、こうして捜索する人の気持ちを知ってしまうと私も胸が痛みます。今まで本当にすみません。
「カイさん、あの子です。」
酒場からさっきのお兄さんと、カイさんと呼ばれる男性が出てきたので。
私は転がっていた身体を起こす。
猫さんはまたそんな私の膝の上に飛び乗った。
「……信じられへん。」
カイさんがぽつりと声を溢した。

