「ニャーニャー。」



そんな悲しそうな猫さんの声で、私は目を開ける。


私が目覚めたのが分かると猫さんは私に飛び付いて、その身を寄せてくれる。




「…ごめ…、おはよ。」



こんな時間まで寝てしまって。


猫さんお腹すいただろうからごめんと謝って、おはようの挨拶。



たっぷり眠れたので、私は次に猫さんと自分の食事を摂らねばと考える。




「…あの。」


「あら、今朝のお嬢さん。もう夕方だけどもう一泊する?お腹空いてない?」



ここに泊めてもらう時にお話した優しい宿主さんに声を掛けると、またそんな優しい返し。




「ご迷惑でなければこのまま今夜もお邪魔させていただけると嬉しいです。食事も…どこか近くにお店ありますか?」


「ええ、勿論よ。この近辺は食べるところ多いから困らないと思うわ。食事終えたらお風呂準備しておくからまた声掛けて頂戴ね。」


「ありがとうございます。」




と言うことで。


とりあえずご飯屋さんを探して街に出た。




「猫さん何食べる?」


「ニャ?」


「私今はお金持ってるから遠慮しないでね?」



一番近そうなご飯屋さんに立ち寄って、まず猫さんにも食べさせてくれるか聞いてみたところ。


ここも優しい店主さんで、快く了承してくれたのでそのまま私もここで食事をいただくことにした。




「それにしても嬢ちゃん別嬪だなー!」


「お料理とっても美味しいです。」


「こんな可愛い子が剣抱えて旅の途中か?それともどっかの軍人さんか?」


「…どちらかと言えば旅…ですね。」



難しいこと聞いてくれるな。


そして自分の容姿を褒められることに対して、アキトの城で存分に経験したのでサラッと流すことを習得した私。


…あの経験が大いに役立ってます。




「若い女の子の旅なんて危険が多いだろうから気を付けてな?」


「ありがとうございます。」



猫さんにご飯をあげながら、そんな優しいことを言ってくれる店主。


この街にも良い人は多そうだ。