…猫???


鳴き声は聞こえたけど姿は見えない。





「…ま、いっか。」



野良猫だろうと私はとにかく街へ入る。


街へ入った瞬間、その猫は私の前に姿を見せた。




「うん?」


「ニャー。」


「えっと、餌は持ってない…けど。猫さんどうしたの?」


「ニャ、ニャー。」




ただ鳴くだけの猫。


三毛猫だろう。マダラ模様が可愛い子猫。



まだ朝早くて街に人の姿はないけど、別に猫の相手をするほど猫好きではない。嫌いでもないけど。


寧ろ動物は割と好きな方。





「…早朝なんだけどこれから宿探して寝倒そうと思ってるの。それでよかったら一緒に来る?」


「ニャー!」



そうするって言った…気がした。


なのでとりあえずこの猫さんを抱えて私は早朝の宿探し。珍しく私は無一文じゃない。お小遣いをくれたるうに感謝です。




本当なら街に心惹かれて練り歩きたい衝動に駆られるが、残念ながらヘトヘト。


本気で眠い私は見つけた宿に一目散に駆け込み、とりあえず寝かせてもらえることになった。



猫さんも一緒にごろんと横になり、疲れた身体をまずは休めます。





「ニャ?」



一瞬で眠りについた私を、不思議そうに猫さんが見つめる中。


次に私が目覚めた時には時刻は夕刻。




…たくさん寝ました。