方角だけはパルテノンに向けた私の足。


現状今どの辺か分からないくらい歩き続けた。休み休みしましたが。



そしてようやく太陽が顔を覗かせ始めたので、ここで限界が来た私はすぐに空を飛ぶ旅に切り替える。





「はぁー、今は飛んでる方が楽だー。」



いつもは飛ぶのも疲れるけど、歩き続けた足が悲鳴を上げてるので今はこっちが楽です。



飛んだことで全体の位置情報が分かるので、やっとパルテノンへの最短の道を把握できました。





「…あ、将印忘れてた。」




ふと身に付けたままのアキトの将印が目に入り。


どうしようかと思い悩む私。



もう外しちゃう?けどせっかく貰ったものだし?外してると失礼なのかな?そうなるとハルのは?



色んな思いを巡らせた結果。





「…なんか恐れ多いな。」




ハルのくれた将印のネックレスに、アキトのも一緒に通してダブル将印を首に装着しました。



…しかし。



何かこれってわざわざ二人に…その、何だ。自分が好かれてるのをアピールするみたいで?なんか照れ臭くもあるので?




「ちょっと…うん。隠そう。」



首に装置したまま服の中にそれを仕舞う。


ハルはいいんだよ、この際。でもアキトは家族なわけじゃないし。ちゃんと今世で異性として…好かれてる人なだけ…うん。



…やっぱ恐れ多い!恥ずかしい!!!




そんな感情に苛まれ、一人で飛んでるのに思わずふらふらしてしまっている現状。




そうしている内にパルテノンの国境に入り、もう疲れ果てている私はとりあえず適当に近場の街に降り立つことにした。


人気のない場所に足を付けて。




さあ、街に入ろうと思った…そんな時。





“ニャー”




そんな可愛い鳴き声が耳に入った。