不貞腐れた私は、地面を蹴って木々に隠れる隠密の一人を斬り伏せる。




「うぐっ…!」


「何という速さ。火遁がなくとも強いぞ。」




ここまでだってそこそこのスピードで逃げてましたけどね!?


気付かなかったんですか!?馬鹿ですか!?




「…拍子抜けー。強いかもって思ったの気のせいだったのかなー。」


「侮辱する気か!?」




安い挑発にまんまと乗ってくれた三人。


馬鹿みたいに私の間合いに入ってきてくれたのでそれも瞬時に斬り捨てます。





「馬鹿共が。」


「距離は保て。そうすれば剣は届かん。」


「分かっている。」




ほう。


残る二人は頭が良さそうです。





「あのさ、私を連れてくるように頼んだ人ってソルの第一将で合ってる?」


「…何故そう思う。」


「ちょっと前に会った人に、その人に気を付けるように言われたんだよねー。」




答えは知ってるこの質問。


ここから派生して何か情報を得たいなと思っています。





「…そうだ。我が国の第一将、リュウキ様だ。」


「リュウキって名前なんだー。格好良い名前だねー。」




あらあら。


近い将来、龍と虎が戦うわけですね。




「リュウキ様がお前を欲している。」


「欲されても私は行けないの。ごめんね?」


「連れ帰る他ない。」


「そのリュウキさんって人に伝えてくれる?」




私は最速で隠密の一人と距離を詰める。


そのまま剣を振るが、流石に一筋縄じゃ行かず防がれるがもう一方の剣で死角から刺し込む。



もちろん恨みはないので急所は外すが、追われ続けたくないのでそれなりの深手にはなる。




「っく…。」


「…伝言と言うのは?」




残る一人が私に聞いてくれる。


リュウキとやらに私が伝えたいことを。







「こうやって刺客を送られ続けたって、リュウキさんが直接来ない限り返り討ちにし続けちゃうよって言っといて?」




残る一人も。


この人にも何の恨みもないが、とりあえずそれなりの怪我はしていただいて。



こうでもしないと、マサの時みたいに私を易々逃した罪とやらで裁かれ兼ねない気がしたから。これだけ傷を負わせれば追加で傷付けられることはないと…信じたい。