「行っちゃったね。」


「ああ。」


「アキト寂しい?」


「…お前こそ寂しいって顔に書いてんぞ。」




トキは自分の顔をペタペタ触る。


寂しいと思っていたのが事実だったトキは、それが表に出ていたのを不安に思う。




「リンにバレてないかな?」


「さあな。」


「…リンの炎、綺麗だね。」




二人で魂を呼び起こすほど煌めく海を眺める。




「こうやって皆んなを前向きにするのがリンの道なのかな。」


「…それもあるだろうなあ。」


「それもって、アキト知ってるの?」


「ちゃんと聞いたわけでもねえし、俺が勝手に想像してるだけだ。リンの作り上げる世界を。」




概ね間違ってないアキトの予想。


それをアキトは楽しみだと言い、そうなった世界を守りたいと思ってくれる。





「…俺、アキトとリンを応援したいなって今まで思ってたんだけど。もしかしたらダメなのかな。」


「お前が応援しようがしまいが、アイツは自分の意思を曲げる奴じゃねえよ。」


「うん。俺はこの先リンが誰と結ばれても結ばれなくても、リンが元気に過ごせるならそれが一番いいや。」


「それは俺も同じだ。てか、アイツに惚れてる奴みんなそう思ってる。」




私の周りは本当に良い人が溢れてる。


そんな良い人たちを守りたいと思う、そんな気持ちが私に更なる力をくれる。





「…さて、戦に向けて気合い入れるかあ。」


「だね。リンと考えた新しい将軍候補、上手くハマるといいんだけど。」


「お前が決めたことなら大丈夫だろ。」




そう言って二人で街へ戻り。


隊士たちをかき集め、サクとハナちゃんと合流し城へ戻る。



私の牽制の甲斐あってか、トキが女の子に絡まれることもなくアキト軍の皆さんは楽しいお祭り会場を後にした。