おやおや。
前を通れると思っているのか。
「私を抜けられたら逃げてもいいよ?」
私は手に持ったままの双剣に、炎を流す。
「この隊の隊長さーん。国に帰る前に少し話したいから帰りたくなったら教えてねー。」
それだけ声を掛けて。
私は炎と共に双剣で舞う。
三万まで減らしたという敵、ソル軍。
トキはここにいるので全部だと言っていたが、ざっと見た感じさらに二万程まで減ってる。
サク頑張ったんだな。
じゃあ、私も負けてられないな。
『…双剣、中々様になってた。』
ハルが褒めてくれたし。
「アレンデールの寵姫が何故セザールに!?」
「もう姫じゃないんだって。今日はちょっと剣の練習相手を求めてて。」
「ここは戦場だ!舐めるのもいい加減にしろ!!!」
「…不謹慎だったのは謝るけど、舐めてるのはどっちなの?」
相手がトキだから仕方ないとは言え。
こんな囲地に易々誘い込まれ、前も後ろも退路を断たれても尚何もしない敵将。
私がこの軍を率いているなら迷わず降伏して、自軍の兵を一人でも多く無事に帰すことを考える。
「…もう良い。止めるでござる。」
一人の男が、この戦場に漸く終止符を打った。
ござるって言った???

