(二)この世界ごと愛したい




おやおや。


前を通れると思っているのか。





「私を抜けられたら逃げてもいいよ?」




私は手に持ったままの双剣に、炎を流す。







「この隊の隊長さーん。国に帰る前に少し話したいから帰りたくなったら教えてねー。」




それだけ声を掛けて。


私は炎と共に双剣で舞う。





三万まで減らしたという敵、ソル軍。


トキはここにいるので全部だと言っていたが、ざっと見た感じさらに二万程まで減ってる。




サク頑張ったんだな。


じゃあ、私も負けてられないな。






『…双剣、中々様になってた。』



ハルが褒めてくれたし。





「アレンデールの寵姫が何故セザールに!?」


「もう姫じゃないんだって。今日はちょっと剣の練習相手を求めてて。」


「ここは戦場だ!舐めるのもいい加減にしろ!!!」


「…不謹慎だったのは謝るけど、舐めてるのはどっちなの?」




相手がトキだから仕方ないとは言え。


こんな囲地に易々誘い込まれ、前も後ろも退路を断たれても尚何もしない敵将。



私がこの軍を率いているなら迷わず降伏して、自軍の兵を一人でも多く無事に帰すことを考える。










「…もう良い。止めるでござる。」




一人の男が、この戦場に漸く終止符を打った。




ござるって言った???