戦場では軍師として、軍略に特化した指揮官だと思っていたが。まさかそんな特技があったとは。
「必要な場面なら弓で指示を出す時もあるし、割と得意かな。」
「何その指示ー、気になるー。」
是非ともこの目で見たかった。
そしてもっと早く知りたかったです。
「…リン、俺さ。」
「ん?」
「シオンとは異母兄弟なんだよね。」
「へ?」
異母兄弟。
父親は同じだけどそれぞれ母親が違うってことか。確かに二人は似てるとこもあるけど似てないところも多い。
…にしても突然どうした???
「父親は女に見境なくてね。そんな父親だからシオンの母親も俺の母親も、すぐに俺たちを残して出て行って。
それでも変わらない父親だから、常に色んな女が家に居て。父親に相手にされなくなっていく女たちは俺とシオンに目をつけ始めて。
暴力も暴行も日常。そんな恐ろしいものが“女”だってずっと思ってたんだ。」
トキの過去。
ちょっとシオンのも聞いてしまってまた罪悪感があるけども。水を差すのは違うので黙ります。
「そうやってシオンと過ごして来て、エゼルタの軍師として親のレールを歩いて行くんだろうなって思ってた。
けど、シオンは将軍として名を上げて行って、王族の目に止まるようになって。いよいよ姫に目を付けられて。父さんはそれを喜んで。
最初はシオンだけに目を付けてた姫に、耐え兼ねて俺が口を挟んで。結局一緒に巻き込まれてって現状なんだよね。」
そうか。
やっぱりトキだけじゃなくてシオンも何かしらの嫌がらせをされてるんですね。
「そんなどうしようもない日々の中で、たまたまエゼルタにフラッと立ち寄ってたアキトに出会って。
軍師として付いてきてほしいって頼まれて。シオンとも相談して、俺はそんな日常から脱したんだけど。
それでも俺の人生を狂わせるばかりの“女”が、俺はどうしても好きになれなくてって。そんなのが理由なんだよね。」
これを聞いたからと言って、私は特段何も変わることはないんだけれども。
何か言わなきゃいけない…のか?
「…えーうん。分かった。」
「……。」
「え、どうしよう。何か気の利いたこと言った方がいい感じ?」
「…いや、大丈夫。同情してほしくて言ったんじゃないし。ただ、さっき助けてもらったからちゃんと話しとこうと思っただけ。」

