(二)この世界ごと愛したい




トキが弓を構える姿。


それがなんか意味分からんくらい様になってる。姿勢が綺麗すぎる。




「もしかして経験者?」


「普段あんまり見せねえからなあ。それもこんな街中でなんてありえねえことだ。」




トキがそのまま的に目掛けて、なんと二矢一斉射撃。





「「「キャー!!!」」」




分かる。


そう叫びたい気持ちが今は分かる。



的のど真ん中に刺さった二本の矢。そしてこちらに満面の笑みを向けるトキ。


いつも可愛いそんなトキが。




…今は格好良すぎる。





「リンー、金一封取ったよ。」


「す、すごいトキ!達人じゃん!!!」




金一封を受け取ったトキが、こちらに戻る前にアグレッシブな女性たちがトキを取り囲んだ。



しまったー!!!





「トキさーん、素敵ですー!」


「これからお暇ですか?」


「一緒にお祭り回ってくださーい!」




不安か、恐怖か、不快感か。


トキの表情がどんどん曇っていく。



そして一人の女性がトキに手を伸ばすのに気付いた。たぶんトキも気付いてた。



だけどトキが固まっている。





「だめっ!!!」



咄嗟にそんな輪の中に割って入り、トキに飛び込んだ私。




「ちょ、ちょっとあんた何よ!」


「トキさんはあんたのじゃないわよ!」


「アキトさんだけじゃなくてトキさんまで横取りする気!?」




アキトのことだって取ってませんが!!!


言いたいことは山程ありますが!!!




「…トキに触らないで。」


「はあ!?なんであんたにそんなこと言われなきゃいけないのよ!?」


「ダメったらダメ。」


「思い上がるのもいい加減にしなさいよっ!!」




一人の女の子が私に手を振り上げたのを、私は逆に掴む。


…ここは負けてなんてあげられない。