(二)この世界ごと愛したい




お祭りで賑わう出店の通り。


私は珍しくお金を持っているので、欲しいものを欲しいだけ買っています。




「…あれ何?」


「射的の弓版だね。的に当てたら景品がもらえるっていうやつ。」


「私やってみたい!」


「リンは弓の経験あるの?」


「ない!初めてやる!」




機会がなかったわけじゃないんだけど、私ダーツ得意だったんで。


どうせ同じ要領だろうと触ることはなかった。




「アキトやってみて!」


「俺の腕前を見せてやる!!!」




まず手始めにアキトにやってみてと頼んで、様子を見るんだけど。


…的、遠すぎないか!?




「アキト大丈夫?思ったより遠いよ?」


「…だ、大丈夫だ。」




不安そうなアキトの第一矢。


その矢は的から外れ、遥か遠くへ飛んでいった。




「「……。」」


「今のは準備運動だ!次は当てる!!!」




そんなアキトの第二矢も同じく見えない所へ飛んで行ってしまう。




「…アキト全然ダメじゃん。」


「ああ!?」


「次私やるー!」




アキトの矢を見て少し学んだ。


力が足りなくてもダメ。力みすぎてもダメ。狙いを定めて的を射抜くためには、一本集中!!!




「…よーし。」




弓を引いて、的を狙って。




「…なんかイイな。」


「だね。でもリンはやっぱ剣が似合うよ。」




弓を引く姿を見て、アキトとトキが褒めてくれているのも今は気にならないくらい集中している私。


そして引いた矢を、放つ。





「惜しいじゃん。リン本当に初めてなの?」


「悔しい!!!」




その矢は的に当たることはなく。僅かに外れて的の後方へ。




「次は当てる!!!」




第二矢も構えて、もうありったけの集中力を注ぐ。







「…っ。」




放った矢は、的の右下に刺さる。


周りから歓声が上がるが私は納得がいかない。




「…真ん中狙ったのに。」


「嬢ちゃんすげえな!景品だっ!」



ちょこんと手の平に乗せてくれた景品は、小さなお菓子一つ。


良い商売やってんな!?




「真ん中に当てたら何もらえるの?」


「そりゃあ一等は金一封だ!」




そんな景品を聞いて、黙ってられるわけがないトキさん。




「俺がやるよ。」


「でもトキ、これ結構難しいよ。一等取るには二矢とも真ん中に当てなきゃいけないんだってー。」




私の制止も聞く耳持たず。


トキは配置に着いて弓を構える。




「…ん?」


「気付いたかあ?」