(二)この世界ごと愛したい




「…ねえ、なんか人多くない?」


「リンがすごい注目されてるね。これはアキトが何かやらかした感じだ。」


「え!?何したの!?」




水面でパシャパシャと和む私とトキ。


残暑が残る今の季節、水中は本当に気持ちが良いです。




それなのに。


アキトが何かやらかしたせいで変に注目を集めてしまっていて、ちょっと不快です。




「…将印、リンに渡したのがバレてるだけ。」


「それにしては流言回るの早すぎるよね?アキトまさか誰かに話してた?」


「…レンの城で…ちょっと。」


「ここから近いもんね。そりゃ騒ぎにもなるよね。それでどう収拾するの。あれだけ待ち構えられてるとこに上がらなきゃいけないの。」




トキがアキトを責め立てて。


海から海岸へ上がりたくないとトキが嘆く。




「もう!トキは楽しいことだけ考えてればいいんだってば!」


「もう楽しんだ。楽しんだからこの後どうしようって話だよ。」


「足りません!トキの楽しみはまだまだこれからです!私に任せてっ!」




私は水中にある指先に集中する。


不燃の炎を纏わせた魚雷の如き炎をそのまま水中を移動させて、私たちから少し離れた場所で爆発させる。



すると素直なギャラリーたちは何事だと、そっちに気が逸れて海岸が空く。




「今のうちに行こ!」


「…リンは奇想天外すぎる。」


「アキトも早く行くよ!」




私はアキトとトキの手を引っ張り、海岸へ上がり人気のない路地裏へそのまま引き込む。





「…よし。」




その場で再び炎を放出する。


シオンに見せてもらった化学の本。物理学の章は大変参考になりましたので、その成果を披露します。



気流を僅かに発生させて、さらに熱の力を利用して風を回す。抵抗加熱と呼ばれる作用で温風が発生する。





「その辺に座っててー。すぐ乾かすね。」


「お前は便利だなあ。」


「人を便利グッズみたいに言わないで。とりあえず時間勿体ないから出力上げて高速でやろ。暑いけど我慢してー。」




天然の乾燥機にて服を乾かして、三人で路地裏から出ます。



お祭りはここからです!!!