みんなで足を進め、街を歩き始めた。
ここで私は、今まで目の当たりにすることがなかった女性恐怖症という症状を初めて見る。
「……。」
「…トキ?」
「ん?」
私を見るその目はいつもと変わらないのに。
周囲を取り囲む女性たちに対しては、流石の私にも分かるくらい嫌悪感を放つトキ。
「トキさーん!」
「トキさんこっち向いてー!」
「可愛いー!抱きしめたーい!!!」
…昨今の女性はアグレッシブです。
でも、トキがすっごく嫌そうに顔を顰めるので。このままでは可哀想だと心を痛める私。
私が誘って連れて来たばっかりに。
「ねえ、アキト?」
「あー?」
「ちょっと騒ぎになるけど許してね。」
私は自分の荷物からアキトの将印を引っ張り出した。
「いい度胸だなあ。」
「よし!これで誰にも文句は言わせません!」
将印を身に付けて。
それを少し驚いて見ていたトキの手を取る。
「リンっ!?」
「何からだって守ってあげる。だからトキ、今日は思いっきり楽しもうっ!」
トキの手を握ったまま私は海に向かって走る。
そして再び見ることが叶った海に、私は大きく心を奪われて。奪われすぎて勢い余って。
…トキまで巻き込んで海に突っ込んだ。
「冬じゃない海!そんなに冷たくない!嬉しい!!!」
「……。」
「足も痛くない!楽しい!!!」
「…ねえ。」
ドス黒いオーラで。
低い声で。
私に声を掛けるのは、トキさん。
「…着いた瞬間すぐに着替え探さなきゃいけないって何?」
「え…あ。す、すぐ乾くよ。ほら、今日は…あったかいし?それに…楽しいよ?ね?」
「へー。すぐ乾くんだ。」
トキは自分が濡れたことが嫌だったのか、怒りを含んだままの状態で私を引き寄せて。
そのまま抱き上げたかと思いきや。
…さらに海の奥へ私を投げ飛ばした。

