「俺は普通じゃない場所で育ったから、リンを気に掛けるアキトの気持ちが全然分からなかったけど。今はちゃんと理解したよ。」
トキの家は軍師一家だと以前聞いた。
そんなトキが、自分が育った場所を普通じゃないと言った。
軍師一家ならではの家庭の事情があるんだろうか?
「…アキトって面倒見いいもんね。」
「そう思われてるアキトが不憫だけど、間違ってはいないから今はいっか。」
家庭の事情には踏み込むべきではないと思い、アキトの話に逸らしたら不憫だと言われた。
「…あ、戦場あそこかな?」
「そうそう。」
岩山の多い地形。
長引くと予想出来る戦いだからこそ、良く考えてこの囲地を上手く利用している。
「…トキはやっぱりすごいね。」
「相手がソルだからね。相手に不足はないし、何せ数が多いからこうでもしないと。」
南の大国、ソル。
ソル自体になんの恨みもないんだけど、度々私が追い払うことになってばっかりで申し訳ないです。
そう思いながらも、私はトキと出来るだけ敵兵の死角を付く場所に降り立つ。
本陣にて、急に空から落ちてきたトキと私に目を見開くアキト軍。
「トキさん!?」
「リンちゃん!?」
それはそれは困惑させてしまった。
けどここには、サクの姿はない。前線で戦っているんだろうな。

