(二)この世界ごと愛したい




「リン、もうこのペースで食べてたって朝になっても食べ終わらないから。アキトの言う通りさっさと寝た方がいいよ。それが嫌なら俺が無理矢理食べさせようか?」


「…寝ます。」




無理矢理は嫌です。


私は眠たい身体を頑張って立たせて、アキトの部屋へ歩き出す。




「…俺ももう寝る。」


「明日は流石に朝稽古やってもらうからね。くれぐれも二人とも早く寝てね。」




トキの言葉を背中で聞きながら、もうこれだけ眠いんだから早く寝るのは当たり前だと。


そう思いながらアキトと部屋に戻って来た。





「ねむいー。」


「昨日から頑張りすぎだ。」




早々寝台に飛び込んだ私を呆れた顔で見下ろしているアキト。




「…アキトは心配しすぎ。」


「リン。」



私の名前を呼んで、アキトも寝台に上がったのは分かる。


ただ、上がり方が…なんか違う。




「心配してたんじゃなかったの?」


「お前、俺の心配はしねえのかあ?」




何を思ったのか私の上にいるアキト。


心配してるかと思えば、また邪な発想をしているのかと考えてしまう体制。




「アキトの心配?稽古の調子は良さそうだったけど、具合悪かった?疲れちゃった?」


「妬いた。」


「や……は?」


「分かってはいたが、ルイはやっぱすげえなあ。」




私は頭に疑問符が飛び交う。


私とるうが一緒にいる所なんて散々見て来たはずのアキトが、今更るうに嫉妬なんて意味分からん。




「…るうは、んっ…!」




私が喋ってる途中にも関わらず、アキトが私の唇に噛み付いた。


その唇は、全然続きを話すことも出来ない程、止めどなく何度も角度を変えて降り注ぐ。



…喋るどころか息も続かない。





「はぁっ…あ、き…んぅ…!?」


「…ったく。」


「ぇあッ…!?」




アキトの舌が口内に入り込むので、ほぼ反射で口を閉じようとしたが。


強引に指を使って開かせられただけではなく、私の舌まで動かし舌同士が絡まる。




…これは、何。



百戦錬磨のアキトの技になす術なく、私はされるがままだけど。諦めてはいない。


どうにかこうにか離れてと、アキトの分厚い胸板を押し続ける。





「…ふぁっ…ぅ…っ。」




もう誰か助けてください。


頭がぼーっとするくらい朦朧とする。そんな刺激に耐えても耐えても終わらない。



寧ろ体の奥から、火龍の熱とはまた違う熱が沸々と沸き立つような気もしてきた。




…私の知らない、熱。