「リン、もうこのペースで食べてたって朝になっても食べ終わらないから。アキトの言う通りさっさと寝た方がいいよ。それが嫌なら俺が無理矢理食べさせようか?」
「…寝ます。」
無理矢理は嫌です。
私は眠たい身体を頑張って立たせて、アキトの部屋へ歩き出す。
「…俺ももう寝る。」
「明日は流石に朝稽古やってもらうからね。くれぐれも二人とも早く寝てね。」
トキの言葉を背中で聞きながら、もうこれだけ眠いんだから早く寝るのは当たり前だと。
そう思いながらアキトと部屋に戻って来た。
「ねむいー。」
「昨日から頑張りすぎだ。」
早々寝台に飛び込んだ私を呆れた顔で見下ろしているアキト。
「…アキトは心配しすぎ。」
「リン。」
私の名前を呼んで、アキトも寝台に上がったのは分かる。
ただ、上がり方が…なんか違う。
「心配してたんじゃなかったの?」
「お前、俺の心配はしねえのかあ?」
何を思ったのか私の上にいるアキト。
心配してるかと思えば、また邪な発想をしているのかと考えてしまう体制。
「アキトの心配?稽古の調子は良さそうだったけど、具合悪かった?疲れちゃった?」
「妬いた。」
「や……は?」
「分かってはいたが、ルイはやっぱすげえなあ。」
私は頭に疑問符が飛び交う。
私とるうが一緒にいる所なんて散々見て来たはずのアキトが、今更るうに嫉妬なんて意味分からん。
「…るうは、んっ…!」
私が喋ってる途中にも関わらず、アキトが私の唇に噛み付いた。
その唇は、全然続きを話すことも出来ない程、止めどなく何度も角度を変えて降り注ぐ。
…喋るどころか息も続かない。
「はぁっ…あ、き…んぅ…!?」
「…ったく。」
「ぇあッ…!?」
アキトの舌が口内に入り込むので、ほぼ反射で口を閉じようとしたが。
強引に指を使って開かせられただけではなく、私の舌まで動かし舌同士が絡まる。
…これは、何。
百戦錬磨のアキトの技になす術なく、私はされるがままだけど。諦めてはいない。
どうにかこうにか離れてと、アキトの分厚い胸板を押し続ける。
「…ふぁっ…ぅ…っ。」
もう誰か助けてください。
頭がぼーっとするくらい朦朧とする。そんな刺激に耐えても耐えても終わらない。
寧ろ体の奥から、火龍の熱とはまた違う熱が沸々と沸き立つような気もしてきた。
…私の知らない、熱。

