結局お互い無傷のまま。
一太刀も入らず入れさせず、ただひたすら体力だけが削がれて行く。
こうしてるだけで気付けば時間だけが過ぎる。
「二人とも、そろそろストップ。」
肩が上がるほどの疲労。
そんな私とアキトを見兼ねてトキがストップと声を掛けてくれた。
「…リン、やってくれたね。」
「ビックリした?」
トキにしてやったりと笑みを向けると、トキは何やら考え込むように真剣な表情。
「これがビックリしてる顔かあ?」
「…アキトうるさい。」
「何でだよ!?」
トキはここまで急成長したアキトを見てなかったので、驚いたことでしょう。
けど、アキトは想定内だから驚いてないと思ってる。
「次の戦めちゃくちゃ楽しみかも。」
「は?」
「俺の予想何てもう遥かに越えてる。これはアキトが凄いのかリンが凄いのか…どっちもか。」
「…俺だなあ!?」
ようやく自分の開花を思い知った花。
私はそんな微笑ましい二人を見てるだけで嬉しくて。
でも喜びに浸るにはまだ早いので、剣を収めてサクにまた声を掛けて二周目を促す。
「リンちゃんすごいっすね。」
「…まだまだ、この軍の伸び代はこんなもんじゃないよ。」
サクと再び稽古を始めると。
まだやるのかと驚いているアキトとトキ。
「リンまだやるの?」
「もう一周だけねー。」
「瞳の消耗もあったのに大丈夫?」
「うん、アキトも準備しててねー。」

