(二)この世界ごと愛したい




私はもう恥ずかしいというか、何とも言えない感情に苛まれこの場にいるのも辛い。




「…目の色も戻ったし。私とハナちゃんの鬱憤を晴らすことにしようかな。」


「何するんすか?」


「アキトとサクの時間外稽古。」




我ながらナイスアイデア。


そうしよう。こう言う時は身体を動かしてスッキリするのが一番いい。




「リンちゃん!私の分までよろしくね!!」


「まっかせてハナちゃん!!」



「「…。(…最悪だ。)」」




意気揚々な私とハナちゃん。


意気消沈してるアキトとサク。



私はさっさと動きやすい服に着替えてアキトに声を掛ける。




「アキト、私の剣はー?」


「リンここにあるよ。研ぎ終わってるから存分によろしくね。」


「トキありがとー。」




仕上がってて良かった。


私はトキから二本の剣を受け取り、稽古場へ向かう。



今日はトキも見学したいと言うので、トキに今までの成果をお披露目出来る良い機会です。





「じゃあサクから見ても良い?」


「トキさん!?何で俺が先なんすか!?」


「え、気分。」




トキに指名されたサクは泣く泣く剣を抜く。


私もぴょんぴょんと跳ねて軽い準備体操。そして一息ついて剣を抜く。




「よろしくー。」


「よ、よろしくっす。ただリンちゃんお手柔らかに…いっ!?」




久々なもので。


血が沸っているのは稽古を受けるサクではなく、寧ろ私。




るうの姿を見て。


もう、私よりも遥かに力を付けたことに気付いてしまったから。





…置いていかれるわけにはいかない。





「っり、リンちゃ…!?」


「サク反応遅れてるよー。とりあえず感覚戻すとこからっぽいね。頭で考えずに反射で動いてていいよ。私が合わせる。」


「は、はい!」




休んだ間がある分始めはちょっと動きが鈍かったけど、それも最初だけ。


器用なサクの調子はすぐに上がる。