(二)この世界ごと愛したい




るうは馬の傍で立ち止まる。




「…戦が始まればハルが城を離れて俺は自由に動けなくなる。」


「そうだね。」


「頼むからその間に異変はやめてくれ。」


「頑張るね。」




ハルにもるうにも会えて嬉しかった。


これでまた、しばらくは頑張れそうだなって…そう思えるのは思えるんだけど。




「…るう。」


「…お前今自分がどんな顔してるか分かってんのか。」


「え?どんな顔?」


「…可愛い顔。」




そう言って、何もかもお見通しなるうが両手を広げるので。


私はその腕の中に即座にダイブ。




「るうとこんなに離れたの初めてだね。」


「俺はお前が楽しそうなんで少し安心した。」


「楽しい…けど。」




昨日のハルほどではないが、そこそこの強さで私を抱き締めるるう。




「けど寂しいって?」


「うっ…。矛盾しててすみません。」


「…俺も同じだし。」


「るう可愛いー!」




うるせえと一喝されました。


話したいことはたくさんあるけど、時間がそんなになさそうなので。積もる話は別荘と言う名のるうの自宅が完成したら泊まりに行こう。




「次会った時また痩せてたら引き摺って連れ戻して、太るまで食わせ続けるからな。」


「き、気を付けます。」




太りたくはないなー。


大体、昨日私が食べ損ねたのはシオンが悪いんだと思ってるんですけど。


シオンが私を酷使するのが悪い。




「…よし。充電できた。」


「もう時期この城を出て、パルテノンに向かいます。本格的に便利な拠点を探そうと思ってる。」


「なるほどな。場所的に都合が良いわけか。」




アレンデールとセザールとエゼルタ。私にとって主要国全てとの国境がある国。


地図上で、ほとんど中心に位置する国。




「ついでに好条件の仕事でもあればなー。」


「世間はそんなに甘くねえよ。あ、金とりあえず持ってきてたんだ。」


「うわ!今度アキトとトキとお祭り行くから助かるー!」




どしっと重たいお小遣いを手に入れた。


るうはもう従者と言うか、お母さんに近いですね。ママよりもママっぽい。




「王妃からの小遣いも込みだ。無駄遣いすんなよ。」


「本当にママからだった。ありがたやー。」


「…じゃ、ハル暴れたまま置いてきてるから。とりあえず戻って落ち着けてくる。」


「うん、よろしくー。」