(二)この世界ごと愛したい




るうが面倒に思うこと。


手続きする上で、欲のないるうが面倒に感じていること。




「…じゃあ次のお誕生日プレゼントの相談してもいい?」


「はあ?」


「私今ほしいものあるの。」


「別に誕生日まで待たなくていいだろ。」




何がほしいんだと。


聞いてくれる優しいお金持ちなるう。








「別荘がほしい。」


「……。」




誕生日プレゼントのスケールがデカすぎて、周りは騒然。


その中でるうは溜め息を吐く。




「場所は?」


「んー、城の近く?裏山辺りがいいかな?」


「奇遇だな。あの辺の地主は身近にいるんで聞いてみる。」


「あれ?そうなの?」


「裏山含めて城の裏手はハル個人の所有地だ。」




それは、知りませんでした。




「じゃあ安くしてくれるといいね。」


「根刮ぎ土地奪う。」


「高価なプレゼントでごめん。」


「気にすんな。毎年一軒買ってやる。」


「…そんなにはいらない。」




どんだけ大富豪なんだ。


周りの皆さんも驚いて声も出ない様子ですよ。




「とにかく無茶も無理もすんな。」


「うん。」


「…よし、全部食ったな。」


「ご馳走様でしたー。」




ぺろりと膳を綺麗にした私。


満足そうに笑うるうを見て、つられて笑ってしまう。



そしてアレンデールへ戻ると言うるうを、私はまた城門まで一人で見送ることにした。





「…アキトにしては立派な城だな。」


「トキがいるからねー。無駄がなくて良いお城です。」


「俺も手続き進めとく。お前の別荘の場所が決まればもうほとんどやることねえから。」


「そうだと思ったー。」




将軍になるためには、きちんと身分を証明するために住所が必要になる。


欲のないるうにとってお家を買うなんて後回しにしがちだろうと思ったし、適当にも選べなくて困ってるんじゃないかと思った。