(二)この世界ごと愛したい




ハナちゃんの後を追って厨房に勝手に入ったるう。


そんなるうを見てハナちゃんがぎょっと目を見開くが、るうはお構いなし。




「お、お客様何をっ!?」


「…別に客じゃねえよ。それにそんなに長居出来ねえから構わなくて良い。」


「え、いや、お茶は私が準備しますよ!?」


「これはリンの。アイツ長時間食わねえと余計に食欲無くすタチだから。とりあえず飯より甘味の方がまだ食いつく。」




そう言って手際良く甘味物を調理するるう。


材料、調理器具は勝手に使っているが、あまりの速さにハナちゃんは見惚れるしかない。




「悪いけど暇なら湯頼む。」


「…へ、あ。もちろんですっ!」


「コーヒー豆置いてるか?」


「リンちゃん用に準備してますっ!」




そして合間でコーヒーの準備。


無駄のない動きは、長年城で培った経験の賜物。





「あの、あなたはリンちゃんの…剣の一本ですか?」


「はあ?」


「リンちゃんに信じられる人がいるか聞いた時、二本の剣を大事に抱えて二人いるって言ってたので…。」


「…クソ可愛いな。何だその話。」




思わずガシガシと頭を掻くるう。




「リンちゃんの、信じてる人…。恋人、ではない…ですよね?」


「…傷を抉ってくれるな。」


「す、すみません!?」


「別にいいけど。サクの嫁さんだっけ?こっちこそリンが世話になって悪いな。」