ハナちゃんの後を追って厨房に勝手に入ったるう。
そんなるうを見てハナちゃんがぎょっと目を見開くが、るうはお構いなし。
「お、お客様何をっ!?」
「…別に客じゃねえよ。それにそんなに長居出来ねえから構わなくて良い。」
「え、いや、お茶は私が準備しますよ!?」
「これはリンの。アイツ長時間食わねえと余計に食欲無くすタチだから。とりあえず飯より甘味の方がまだ食いつく。」
そう言って手際良く甘味物を調理するるう。
材料、調理器具は勝手に使っているが、あまりの速さにハナちゃんは見惚れるしかない。
「悪いけど暇なら湯頼む。」
「…へ、あ。もちろんですっ!」
「コーヒー豆置いてるか?」
「リンちゃん用に準備してますっ!」
そして合間でコーヒーの準備。
無駄のない動きは、長年城で培った経験の賜物。
「あの、あなたはリンちゃんの…剣の一本ですか?」
「はあ?」
「リンちゃんに信じられる人がいるか聞いた時、二本の剣を大事に抱えて二人いるって言ってたので…。」
「…クソ可愛いな。何だその話。」
思わずガシガシと頭を掻くるう。
「リンちゃんの、信じてる人…。恋人、ではない…ですよね?」
「…傷を抉ってくれるな。」
「す、すみません!?」
「別にいいけど。サクの嫁さんだっけ?こっちこそリンが世話になって悪いな。」

