「…ハル落ち込んでなくてよかった。」
「いや、泣きながら裏山から帰って来たぞ。」
「…泣かなくてもいいのに。」
城門で話し続ける私たちを見兼ねて、トキがるうも城にお邪魔してもいいよと声を掛けてくれた。
るうも私をようやく地に降ろしてくれて、さっきまでいた広間に戻る。
「で?」
「るうしつこい。だから食べたって言ってるじゃん。」
「いつだって聞いてんだよ。」
「今朝です。けーさー。」
広間への道のりも。
広間に到着してからも。
ご飯の件についてまだまだ大きく揉めている私とるう。
アキトとトキはもう私たちに構うことなく、次の戦の相談を始めており関与せず。
「リンちゃーん!」
「あ、ハナちゃん!」
ハナちゃんがパタパタと走ってきた。
その姿も可愛くて、しつこいるうにムカつきつつ思わず頬が緩む。
「リンちゃん大丈夫?昨日の朝からご飯食べてないよね?コーヒーだけじゃなくて何か軽く準備しようか?」
「あ…は、ハナちゃ…。」
「あれ?お客様いらしてたんですかっ!?」
お茶の準備しなきゃと、嵐のように飛んで来ては飛んで行ってしまうハナちゃん。
「へー、お前の今朝って昨日の朝のことか。」
「…記憶が…ちょっと、曖昧で。疲れてるのかな。目の色も変わってて…うん。疲れたなー。」
「…アキト厨房借りるぞ。」
るうはアキトに声を掛けて、厨房の場所も知らないくせに広間を出ていく。
…怒ってる。
あれは明らかにるうが怒ってる。私に見向きもしない時は大体怒ってる。
「ルイは優しいね。リンのご飯準備しに行ったの?」
「…今ビックリするくらい怒ってるよ。」
「え?あれで?」
「トキ。るうってね、普段ガミガミ言ってるけど。あれはまだマシなの。本当に怒ってる時のるうは寧ろ大人しいの。」
あー面倒なことになった。
るうとは他に話したいことがあるのに、全然話が出来そうな雰囲気ではない。
戻って来たらひたすら謝るしかない。

