馬上から声が降ってくる。
その声は、安堵と怒りと優しさを含む。
…何とも恐ろしい声色。
…何とも私を安心させる声色。
「んー?本当のことじゃない?」
「あ?」
現れたるうはビシッと決め込んだいつもの服装ではなく。旅行の時同様ラフな格好。
無駄に色気をばら撒いている。
「…格好もダラダラしてる。」
「お前、昨日帰ってたらしいが俺に顔も見せねえってのはどういうわけだったんだ?」
「昨日は急いでたのー。あ、ハル怒ってなかった?大丈夫だった?」
「大いに怒り狂って当たられて無駄に被害だけ被った。」
だよね。
シオンが余計なこと言うからだけどね。私はそんなに悪くないと思うんだけどね。
「久々だなあ、ルイ。」
「アキト、リンの半径五メートル以内に入るな。」
「…やっぱ全然吹っ切れてねえなあ。」
「あ?」
相変わらず仲良くないるうとアキト。
トキは笑ってその様子を見ているだけ。
「遥々ご苦労だがこの通りリンは無事だ。取り越し苦労だったなあ。」
「…無事?」
疲れてるだけで確かに無事だ。
それは一目瞭然のはずなのにるうが何故か納得していないのは、私の瞳が変わったままだからか。
「リン、お前無事なのか?」
「え?元気だよ?」
馬上から降りて、るうは私の近くまで歩み寄る。
前回別れ際まであれだけ距離感を保っていたるうが、何を思ったのか私を持ち上げる。
「…体重減ってる。お前飯は?」
「…食べた。」
「いつ。」
「……。」
昨日の朝。
何て素直に言ったら怒られる。
それにしても人の体重を勝手に測るな。一応女子だぞこっちは。どんな特技だよ。
「ハナちゃんのご飯美味しいよ!サクのお嫁さんなんだよ!」
「へー、そりゃ良かったな。」
「しかも可愛くて優しいの!」
「…で?」
変わらんな、るうさん。
「…大体るうは自分が遅れたことに対してはどう考えてるんですかー?」
「遅れてねえよ。」
「だって遅い。」
「シオン将軍がお前を誘拐したって騒ぎ続けて鬼の血相でここに向かおうとするハルを止めて来たんだが、連れて来た方が良かったか?」
止めてくれてありがとう!!!
いつもハルがご迷惑おかけてしてすみません!!!

