城を出て、クロを頼りに少しだけ馬を走らせると。


暗がりの中で木に寄りかかり眠る私を発見した二人は、安堵と呆れが混じった溜め息を吐く。




「こんなとこで寝るなよ。」


「よっぽど疲れたんだよ。リンの炎には限界があるって言ってたじゃん。」


「最悪シオンなんか途中で捨てりゃあいいものを。」


「リンは結局シオンに懐いたからね。見捨てられなかったんだよ。」




アキトは面白くなさそうに顔を顰めつつ、私を抱えて再び馬に乗る。




「…トキ、明日の稽古はやめてやれ。」


「俺もそこまで鬼じゃないよ。」


「言い兼ねねえだろ、お前は。」




二人で城へ戻り。


トキは自室へ。アキトも私を抱えたまま自室へ戻る。





「…起きる気配もねえなあ。」




それはもうぐっすり熟睡。泥の様に眠った私を、労りつつも優しく抱き締めてアキトもやっと安心することが出来たらしい。


もちろん腕枕も忘れないアキト。





「おやすみ、リン。」




そっと呟いて。


再び私が目覚める朝を迎える。