シオンを自宅に送り届け。
私はアキトの城への帰路を辿る。
もう一人だし、私の集中を妨げるシオンがいないのでクロのようにスムーズに移動できる。
「あー。」
それにしても疲れた。
瞳の色を変えるのは予想通りだったけど、ここまで安定しない移動は想定外。
想像してたより倍は疲れた。
そして、日暮れが近付いてきている。アキトの城まで持つかどうか微妙な距離。
「どうしよ。」
頑張って飛び続けるものの。
私は疲れも相まってスピードも出ませんので、とりあえず日暮れと共に人気のないところに降りる。
…困った。
言ってる間にたぶん辺り一面真っ暗になる。
「あ、そうだ。」
ここで私は閃く。
私は疲れたから歩きたくない。だから出来ればアキトの城の誰かに迎えに来て欲しい。
それを叶えられるのは…。
「クロっ!」
アキトの城で捕まえた子だもの。
その場所までは容易に行けるでしょう。
「トキのお部屋の窓覚えてる?そこにトキがたぶんいるから誰かここに案内してきてくれない?」
「ピー。」
分かったと言ってくれた…気がした。
それはたぶん気のせいではなくて。その証拠にクロがちゃんとアキトの城の方へと飛んで行ったから。
私は近くにある木の根元に座り込み、レーダーで周辺に誰もいないのを確認の後、そのまま意識さえもまた手放す。

