気を取り直して。
どうにか冷静さを取り戻した私は、やっとシオンの首に回していた腕を解くことが出来た。
それと同時にシオンが横抱きにシフト。
「…大丈夫ですか?」
「んー。あんまり大丈夫ではない。」
「エゼルタまだ少し距離ありますよ。」
「…根性ですね。」
事切れたらすみません。
「会議がなければこんなに急ぐ事もなかったんですけど。」
「あーエゼルタの軍事会議って言ってたね。」
「…俺がいなくても本来回るんですけど、今回は敗戦の事があるんで避けると面倒なんです。」
「軍事大国も大変だねー。」
エゼルタの軍事会議って凄そう。
軍師が溢れるその会議、ちょっと見てみたい気もする。そもそも私会議とか苦手なので関わりたくはないんだけどね。
「でも、王族の将軍ってユイ姫だけなら会議って成り立つの?」
「ユイ姫は会議にも出ませんよ。」
「肝座ってるなー。私なら怖くてそんな状態で戦になんて行けないよー。」
「ユイ姫にとっては戦も遊びの延長線。暇潰しでしかないんです。」
うわ、私の嫌いなタイプだ。
戦を軽んじるタイプ。前セザール王と同じだ。
「じゃあ会議は総司令さんが取り仕切るの?」
「…そうなりますね。」
「エゼルタの総司令を担うなんて、会ったことないけど凄い人なんだろうなー。」
「…俺は嫌いですけどね。」
シオンは大体の人嫌いじゃん。
誰も好きになれないって言ってたし。
「けどシオンの上に立つ人だもんね。余程凄くないとシオン言うこと聞かなさそうじゃん。」
「…貴女は知らなくていいです。」
私の思い描くまま。
エゼルタの政に関わることになる時には、会えたりするんだろうか。
「…ハルの戦が始まって、トキの結婚も心配で…私はこれからどうなるんだろうなー。」
「パルテノンには長期滞在ですか?」
「…だから行き先は教えないって。」
一度も肯定してないのに、その自信はどっから来るんだ。
…当たってるんですけど。
「セザールに、私はまだやり残したことがあるから。二国くらい経由したら戻りたいと思ってる…けど。」
状況が状況なだけに。
それもいつ行けることになるか分からない。

