(二)この世界ごと愛したい




シオンは一先ず戦のことをハルが受諾してくれたので、満足した様子。


ハルはガミガミと私にシオンを嫌わせようと粘る。




「いいか、リン。お前は俺のことだけ好きでいればいいんだ。他はゴミだ。」


「好きな人たくさん出来たよ?」


「ダメだ。全部捨てて来い。」


「…でもハルが一番だよ?」


「…そうだよな!?」




またぎゅーっと痛いくらいに抱き付かれる。


もうハルもこんな調子で、私は急いではいるのに中々飛び立てないでいる。




「るうは?」


「城。」


「ママとアル元気?」


「ああ。」


「…ハル。」


「嫌だ。」




と、飛べない。


まだ何にも言ってないのに嫌だと言われた。確かにそろそろ離してって言おうとしたんだけども。





「…戦、お前大人しくしてられるか?」


「出来るよ。いつものことだったじゃん。」


「外に出た今でも、俺を待てるか?」


「ハルのこと信じないで私は誰を信じたらいいの。」




さらにハルの腕の力が強くなる。





「可愛すぎる!!!」


「ハルうるさいよー。耳痛い。」




でも、確かにいつまでも待てるかと聞かれると。


それは微妙かもしれない。





「ハルのこと世界で一番大好きだし、誰よりも信じてるけど。私はシオンほど気は長くないよ。」


「…どれくらい。」


「半年。それで無理ならるうを参入させてね。」




ハルとるうが揃えば、まず大丈夫でしょう。




「半年経ってるうが前線に行くことになるなら、二人で目の前に集中していいよ。」





ただ、そうなるとアレンデールの戦力をほとんどその戦に費やすことになってしまうので。







「後ろは私が抜かせない。」




だから、必ず勝利を掴んで来て。



これが本来のアレンデールの戦い方。