未だ抱き付いて離れないハルの背中に腕を回して、ぽんぽんと叩く。
「お前に頼まれても無理。戦に出てる間にお前に何かあったらどうする。」
「んー私は自分で何とかする。」
「無理。心配すぎる。」
「るうもいるんだし、大丈夫だよ。」
もう一押しでいけるな。
ハルを動かすのって実は簡単なんですよね。
「それに、私会ったことないけど。ソルの第一将すっごく嫌なの。」
「…あ?」
「全然許せそうにないの。」
「…そうか。」
ハルは抱き締めていた腕を解き、私の頭にぽんっと手を乗せる。
「国ごと滅ぼして来てやる。待ってろ。」
ハルの説得完了です。
基本的にハルは自分の気持ちよりも私の気持ちを優先する人なので。今自分の心配よりも私の不快感を優先してくれました。
「ハルありがとー。」
「…ただ相手が相手だ。時間は掛かるぞ。」
「だよねー。」
私もシオンも承知の上です。
「一年も経てば俺も戦出られるようになる。それまでに片付いてないなら俺がやる。」
「誰がお前の手なんか借りるか。エゼルタ軍もまとめてぶっ飛ばすぞ。」
「…誰が好きでお前に手借すか。彼女に関わるから仕方ないだけ。」
「リンは俺が守る。お前はいらねえ。黙って引っ込んでろ。」
うーん。
意外や意外。
「…二人、ほんとに仲良しだったんだねー。」
「「どこがだ。」」
いや、めちゃくちゃ仲良しじゃん。
「なーんだ。ハル教えてくれたらよかったのにー。」
「違え。この性悪とは俺は断じて仲良くねえ。リンもあんま近寄るな。お前にだけ良い顔して腹ん中真っ黒だ。悪影響だ。」
「性格に難あるのはもう分かったよ。でも良い人だよー。ハルと仲良しなら私も好き。」
「仲良くねえって!だから好くな!!」

