ハルの音。
大好きな大好きな音。
眠っていてもこの音だけは分かる。
…起きるかどうかは別として。
「リン!!!」
その声も、私には特別で。
嫌でも心が落ち着くのが分かる。
…これも、起きるかどうかは別として。
気持ち良く眠り続けているにも関わらず、結局ハルが猪のように私に突進した。
突進というか、無理矢理引っ張り起こされて締め上げられた。
締め上げられたというか、意味分からんくらい強く抱き締められた。
「…は、る……苦し…。」
「リンー!!!」
「う…。」
窒息する!!!
「…は、る…っ!」
「あ?強すぎたか?」
ドンドンとハルの背中を叩くと、ようやく離してくれた。
もう苦しかったのと背骨折れるかと思うくらいの痛みで、私の目は勝手に潤む。
「何でお前はそんなに可愛いんだ。」
「痛いし苦しいし…って、シオンすごいね。どうやってハルだけ連れて来たの?」
しれっと後ろにいるシオンに聞くと、シオンが返事をするより早くハルが動く。
大刀を思いっきりシオンに振り翳す。
「…シオン。」
「今度は何だ。」
「お前まさか昔のことリンに喋ったのか?」
「…さあ?」
軽々とハルの攻撃さえも往なすシオン。
やっぱり凄いな、この二人。
「リンお前シオン嫌ってたろ!?何で名前で呼ぶ程親しくなってんだよ!?」
「うん、もう嫌いじゃない。」
「はあ!?」
「だからハルストップ。私あんまり時間ないの。」

