(二)この世界ごと愛したい





ハルの音。


大好きな大好きな音。



眠っていてもこの音だけは分かる。




…起きるかどうかは別として。






「リン!!!」




その声も、私には特別で。


嫌でも心が落ち着くのが分かる。




…これも、起きるかどうかは別として。





気持ち良く眠り続けているにも関わらず、結局ハルが猪のように私に突進した。


突進というか、無理矢理引っ張り起こされて締め上げられた。


締め上げられたというか、意味分からんくらい強く抱き締められた。





「…は、る……苦し…。」


「リンー!!!」


「う…。」




窒息する!!!





「…は、る…っ!」


「あ?強すぎたか?」




ドンドンとハルの背中を叩くと、ようやく離してくれた。


もう苦しかったのと背骨折れるかと思うくらいの痛みで、私の目は勝手に潤む。





「何でお前はそんなに可愛いんだ。」


「痛いし苦しいし…って、シオンすごいね。どうやってハルだけ連れて来たの?」




しれっと後ろにいるシオンに聞くと、シオンが返事をするより早くハルが動く。


大刀を思いっきりシオンに振り翳す。





「…シオン。」


「今度は何だ。」


「お前まさか昔のことリンに喋ったのか?」


「…さあ?」




軽々とハルの攻撃さえも往なすシオン。


やっぱり凄いな、この二人。





「リンお前シオン嫌ってたろ!?何で名前で呼ぶ程親しくなってんだよ!?」


「うん、もう嫌いじゃない。」


「はあ!?」


「だからハルストップ。私あんまり時間ないの。」