ハルはシオンの間合いギリギリで足を止める。
そこで何を感じたのか、周囲の兵たちを退け人払い。
「リンの話ってのは嘘じゃねえらしいな。」
「…悪いけどそんなに時間もない。」
「お前に会うのも久々だ。連合軍の借りもある。叩き潰したい理由も腐る程あるが…。」
「詫びも兼ねて来た。」
ハルはいらねえと吐き捨てて。
殺気全開。怒りのボルテージも上げて、目の前のシオンを睨む。
「何でお前からリンの匂いがするんだ。」
「…は?」
ハルの私への嗅覚は異常らしい。
さっきまで私を抱えていたシオンにどうもその匂いが付着しているらしく。それが気に入らないと怒る。
「お前リンに何した。」
「やっぱ病気だな。」
とりあえず連れて行くのが早いと考え、シオンは裏山を指差す。
「…今あの山にいる。」
「リンが?」
「ああ。彼女も含めて、お前に話がある。」
「……。」
私がすぐ近くにいること。
会える距離にいること。
ハルにとってはそれだけで胸が弾むほど嬉しいと思える。
大刀を背中に収めて裏山目指して駆け出す。
「…変わらないな。」
シオンがそんなハルの姿を見て呟く。
そしてそのハルを追って裏山に再び戻る。

