やっぱふざけてる自覚あったのか。
そりゃあそうだ。この体制お互いしんどい。無駄に近いし。
シオンがそっと、器用に横抱きにシフトしてくれた。
「…苦手な割に慣れてるよね。」
「は?」
「…いや、何でもない。」
女の人の扱いとか。
それこそ邪モードの件とか。
私よりも遥かに達者な気がするけど、そこは聞かないでおこう。
「あー、やっと身体楽ー。」
「…すみません。」
「この余力でもう一気に行くねー。」
出力最大。
アレンデール裏山。
大好きなハルとの思い出の地へ。
「…はる。」
風に乗って、この声が届くと嬉しい。
「…そんなに嬉しいですか?」
「シオンはトキに会うの嬉しくない?」
「全く。」
「…ダメなお兄ちゃんに戻ってる。」
私はハルに会えるなんて、そんなことだけで嬉しい。
やっぱり私にとってもハルは特別に大切な人で、叶うならずっと一緒にいたいと思える人。
私は目的地までしばらく飛び続け、恐らくその上空には到達したものと…思われる。
なんせ下まだ見てないからズレてるかも。
「降下しまーす。」
「はい。」
私は纏う炎を、消し去った。
途端、急降下…というかただただ落下する。
致し方ない。炎は目立つのでこうでもして降りないと目立ってしまう。
地上を視界に捉えると場所はそんなにズレていなくて安心した。
「…シオン。」
「…?」
「綺麗な世界だね。」
雨上がりで空気も澄んでる。
緑も溢れてる。
…私の守るべき、美しい世界。
裏山から若干照準がズレていたものの、風が上手く調整してくれて。
幸運なことにちゃんと裏山上空に到達。
「これが神風、か。」
「え?」
「…いえ。」
最後に私は高火力で炎を放出。
怪我しないよう落下の衝撃を和らげる。
「…ふぅ。」
「お疲れ様です。休んでて下さい。」
「んー、そうする。」
「俺はアレンデール城行ってきます。」
私はもう言われるまでもなく、その場にごろんと横になる。
シオンはそのまま城へ向かう。
二人分浮かすのやっぱ疲れる。これは本気で休まないと次エゼルタなんて…もう今は考えたくない。

