(二)この世界ごと愛したい




怒って怒って。


拗ねた挙句に居留守使うところまで容易に想像出来る。




「…ハルは基本俺に対していつもキレてるんで。」


「もう余計無理じゃん。」




話は纏まらないまま、私はとりあえず急いでアレンデール上空を目指す。





「…ハルの誘導は俺が何とかします。戦の件は任せていいですか?」


「え、うん。それはいいけど。本当に大丈夫?」


「ハルとは何度か戦場と…それ以外でも会ってるんで。扱い方は何となく分かります。」




戦場以外で…?



気にはなったけどお互い名前で呼び合う程の、そんな仲良しエピソードがあるのかなと。私は一先ずそう思うことにして。



全速前進突き進みます。






「あー。」


「…大丈夫ですか?」


「うんー。もうちょっとだから、頑張る。」


「下見えないのによく分かりますね。」




トキの部屋の地図を頭に入れられたのは大きい。


それで何となく地理は把握出来てるし、それに今回は目的地がアレンデールだから。



アレンデールには私の炎を残してきてる。


その炎の気配に向けて進んでいるだけっていう簡単な話ですよ。





「目的地が自国だからねー。けど帰りは少し下見つつ行かないとちょっと自信ないかもー。」


「…本気で疲れてません?まだ片道なんですけど?」




…鬼畜め!!!


一人でこの距離飛ぶのだってすっごい疲れるのに、二人分の浮力は相当負荷なんですよ!?




「…大丈夫。まだ落ちない。」


「いつか落ちるのか。」


「心配するならこの抱え方やめてくれると助かります。」


「……。」




性格の悪さが滲み出て縦抱きにしたんでしょうけど、これだとどうにも安定しずらい…と言うか集中しずらい。


なんせ近いのよ!!!





「…悪ふざけは止めた方が良さそうですね。」