怒って怒って。
拗ねた挙句に居留守使うところまで容易に想像出来る。
「…ハルは基本俺に対していつもキレてるんで。」
「もう余計無理じゃん。」
話は纏まらないまま、私はとりあえず急いでアレンデール上空を目指す。
「…ハルの誘導は俺が何とかします。戦の件は任せていいですか?」
「え、うん。それはいいけど。本当に大丈夫?」
「ハルとは何度か戦場と…それ以外でも会ってるんで。扱い方は何となく分かります。」
戦場以外で…?
気にはなったけどお互い名前で呼び合う程の、そんな仲良しエピソードがあるのかなと。私は一先ずそう思うことにして。
全速前進突き進みます。
「あー。」
「…大丈夫ですか?」
「うんー。もうちょっとだから、頑張る。」
「下見えないのによく分かりますね。」
トキの部屋の地図を頭に入れられたのは大きい。
それで何となく地理は把握出来てるし、それに今回は目的地がアレンデールだから。
アレンデールには私の炎を残してきてる。
その炎の気配に向けて進んでいるだけっていう簡単な話ですよ。
「目的地が自国だからねー。けど帰りは少し下見つつ行かないとちょっと自信ないかもー。」
「…本気で疲れてません?まだ片道なんですけど?」
…鬼畜め!!!
一人でこの距離飛ぶのだってすっごい疲れるのに、二人分の浮力は相当負荷なんですよ!?
「…大丈夫。まだ落ちない。」
「いつか落ちるのか。」
「心配するならこの抱え方やめてくれると助かります。」
「……。」
性格の悪さが滲み出て縦抱きにしたんでしょうけど、これだとどうにも安定しずらい…と言うか集中しずらい。
なんせ近いのよ!!!
「…悪ふざけは止めた方が良さそうですね。」

