トキは心にもないだろう謝罪を、形だけ口にしながらニコニコ笑っているだけ。
「邪魔するのは野暮じゃん?」
「トキの意地悪。」
「その顔でそんなこと言われたら俺も襲っちゃうよ?」
なんでそうなるの!?
そしてシオンはこれ起きてるの!?
「…もう知らない。」
「あ、シオン一応起こしたんだけど使いものになるか微妙なんだよね。」
「…これ起こしたって言えるの?」
「リンのとこ連れてくれば大丈夫だと思ったんだけどな。」
大丈夫じゃなさそうですね。
そんなトキがシオンを私の目の前にグイッと引っ張り差し出す。
「リン、よろしくね。」
「え…いや、よろしくって言われても。」
シオンの目は虚で、起きてるのか寝てるのか判別も難しいほど。
「……。」
「…起きてる?」
「……。」
「…よし、置いて行こう。」
もう知らん。
ただでさえ私はアキトとトキに悶々とさせられたので。躊躇いなく置いていけるほど荒れている。
アレンデール行ってハルと話して、ここに戻って来てから起きたシオンをエゼルタに送れば万事オッケーでしょう。
てか、それなら今日じゃなくていいじゃん。
「…ん?」
「……。」
虚なシオンが私の腕を掴んだ。
「…起きた?」
「…ん。」
本当に大丈夫か。
私抱えてもらわなきゃ飛べないよ?アレンデール行く途中で落とされない?落とされても落ちて行くのはシオンなんだけどね?
…気にするだけ時間の無駄か。
私はとりあえずシオンに向かって両手を広げる。
「じゃあ、はい。」
「…?」
「抱っこ。」
「……。」

