そんなアキトは再びトキの部屋に戻る。
予想通りトキとシオンがまだそこに残ったままで。
「シオン!!!」
ドアを開けてすぐに大声を上げるアキト。
それに顔を顰める兄弟。アキトの手に持ったシオンの服を見て、頭の良い兄弟は悟る。
「アキトうるさい。」
「トキお前もちゃんと見張っとけ!?」
「ちゃんと見てたよ。でも雨に濡れて風邪引かす方が困るでしょ。」
「何かされましたってリンの顔に書いてたぞ。」
ここで、この兄弟。
兄も弟もどちらも心当たりがある謎の状況。
「…あんまり可愛くてつい俺も少し虐めちゃったけど。シオンは…うん。俺は知らない。」
「全然見てねえじゃねえか。」
「ごめんごめん。」
「シオンお前、どこまで本気なんだよ。」
直球で質問を投げる。
トキも自然とシオンに目を向けるが、当の本人は飄々として悪びれることも焦ることもない。
「…どこまでって?」
「リンに惚れてんのはもう分かった。その上でお前はリンをどうする気だって聞いてんだよ。」
「…どうするって、それを決めるのは俺じゃない。」
「そりゃあリン次第だが。」
シオンは違うと首を横に振る。
「彼女でもない。」
「はあ?」
「…結局、ハルが彼女を離さないと彼女はずっとあの檻の中に囚われたままだ。」
ハルの想い。
私の願い。
相反関係にある二つの祈りは、お互い知っていても解決が出来ない。
「…ハルは残酷な男だから。」
「誰よりもリンを大事にしてるだけだろ。」
「そんな彼女のためなら、自国であるアレンデールさえ滅ぼせる奴だ。彼女の手前やらないだけで。」
計り知れないハルの想いを、読み解いてしまえるシオン。
「だからさっさとあの首飛ばしたかったけど、それをすると彼女に嫌われる。」
「…お前本気で鬼人討つつもりだったのか。」
「彼女を救い出せるなら、俺は鬼でも虎でも狩り殺す。」

